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眠れぬ夜は君のせい〜10〜

[411]  ユーリ  2008-10-30投稿
背の高い男の人が海を見ている。

足を止めて、もう一度大きく深呼吸をする。

その時その人は振り返った。


『真紀ー!』大きな声で叫んで私の方に走ってきた。


そして私を見て、満面の笑みで右手を差し出した。

『ありがとう!来てくれて。ほんまにありがとう!』

何から話せばいいか、頭の中がこんがらがって、顔が真っ赤で熱いくらい。

ユウキの顔は本当に整った顔で、それが私を一層緊張でグダグダにさせた。

『はっ…はじ、初めまして…あっあの…わっ私は…私は真紀とゆうなっ名前は、ちっち違って…』

ユウキはずっと、ずっとニコニコしてる。

ユウキは差し出した右手で私の手を握った。

えっ?私この手の感触を知っている。

言いたい事、何一つ話せてないのに、どもって話せてないのに。


『私、嘘ついてて…私は真紀ではなくて、久美子なんです。年齢も本当は29歳ですっ、ごめんなさい!』

一気にまくし立てた。

ユウキは優しい目をして微笑んでいた。

『ちょっと歩こう。』

手を繋いだまま歩き出した。

その大きな手のひらは温かくて、何の偽りもなくて…この時間が永遠に止まればいいと思った。





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