時と空の唄9-5
「お?なんか扉があるぞ。」長い螺旋階段を登りある程度時間が経った頃、目の前に現れた両開きの扉を前に四人は立ち止まった。
「…開きませんね。」
取手に手をかけたが鍵が掛かっているらしく扉はビクともしない。
「蹴破るか?」
「爆破させてみる?」
ランスォールとラウフは口々に物騒なことを言う。
「ちょっと二人とも!
仮にもここには人が住んでるのよ!」
「冗談だよ、シーラ。
……にしても、どうすっかなー。この扉。」
螺旋階段は扉の前で途切れていて先がない。
扉には鍵穴があるが途中、それらしき鍵も見つかっていない。
行き止まりだった。
「ノックしたら出たりして。」
コンコン…
冗談半分で試しに叩いてみた。
当然、中から人が出てくるような気配はない。
「やっぱダメか。」
しかし。
カチャッ
鍵が開けられる音がした。「まさか…」
ギイィィと音をたててゆっくりと開かれていく扉。
「……どちら様?」
扉の隙間から覗くブルーの瞳。
澄んだ優しそうな声。
時計塔に住む伝説を紡ぐ者とは、清廉な女性だった。
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