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特別ではない主婦(28)

[212]  紀々  2008-11-01投稿
そして、彼女は予告通り
10分後に電話をかけて来た。

時計を見ながら待ってた私も微妙だけど。
正直、怖かった。
本当にかかってくるのかな?って。
待ってる間が長くて遠かった。
久しぶりに聞いた友達の声。耳に残った明るい彼女の声が、一度はこらえた涙を何度も何度も込み上げさせた。

鼻がツンと痛くなって、ぐっと息がつまる。
じわっと涙が目を覆うせいで、握る電話の子機がぼやける。

ちゃんと話が聞けるように、話が出来るように、泣き止んでいなくちゃならないのに。
正座していた私のひざの上はボタボタと落ちた涙でぬれてヒンヤリとしていた。

ピリリリッピリリリリッ

長かった、遠かった10分が、電話の呼出し音で、ギュウウンと現実になった瞬間、私は、持っていた子機を落とした。

慌てて子機を拾い上げて慌ててボタンを押す。

「もっもしもしっ・・」
「あ、ワタシ〜♪」

「・・・・・っ」
「えっあれ?ゴメンナサイ、チカですけど・・」

「わだじだよ・・・・っ(わたしだよ)」
「なぁに、泣き止んでないじゃん?」
「うぅ・・・」

私は結局泣きながら彼女にうなるようにしか返事出来なかった。
呆れたみたいに、彼女は「でね、さっきの話、続けていい?」
って言った。
私はうなりながら、続けて欲しいと必死でうなずいた。
「彼氏、紹介したいんだけどね、来週くらいで、あいてる日が有ったら付き合ってもらえないかなと思って」

電話があっただけ、とんでもない事になってるのに。さらに、「彼氏に紹介したい」ですと!?

私、さっきまでどん底と呼ばれる辺りに居たんですけど、何なんでしょ、この展開・・・。

涙が引っ込んだ。
っていうより、涙が、蒸発した・・・。

とにかく、返事、返事しなきゃ。ちゃんと、
返事・・・。

「め、迷惑じゃ・・?」

そうじゃないでしょ、そうじゃなくて!
ちゃんと「行くよ」って言わなきゃ、いけ、な、い、のに。
どうしても、これまでついた自分の嘘が突っ掛かって。自分の馬鹿さ加減が突っ掛かって。

口に出たのはそんな台詞で。
彼女は、ん〜って少し困った声で少し間をあけて

「逆に質問するけど」

「う、ううっう・・・ん(汗)」

私は、どもりながら返事をした。

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