携帯小説!(PC版)

手紙

[970]  レア  2008-11-02投稿
辞めたバイト先の仲間から手紙が届いた。


先月、俺は2年続けたバイトを辞めた。


「メールすりゃいいのに…」


手紙なんて、何年ぶりだろう。ズッシリと重みのある封筒の封を開ける。


中には数枚の写真と、1行だけの手紙が入っていた。


俺は写真に目をやった。


「ハハッ懐かしいな…」


バイト仲間で飲みに行った時の写真。
バイト先で撮った写真。
俺の送別会の時の写真。


みんなアホ面で、思わず噴出す。


……!?

この写真…
何かおかしいな。

何がおかしいんだろう?



数枚ある写真を一枚一枚見ていく。



………!!


この写真
全部ピントが俺だけ合ってる。

みんなピンボケで俺だけハッキリ写ってる。


「ったく…。コイツ何のつもりだよ。悪戯か?」


俺は煙草を吹しながら、手紙に目をやった。



『ズット、ミテタヨ。』



「はっ?マジ悪戯でもキモイわ〜。」


俺は文句を言おうと、携帯を手にした。


アドレス帳からそいつの名前を探す。



ない…。


ないッッ!!!!


手紙を送って来た奴の名前がない。


コイツ誰だ…?


封筒の名前を見る。
送り主の名前を俺は知らない…。


あっ。



封筒に切手が貼られてない。でも、ちゃんと部屋のドアの郵便受けに入ってたよな…。

ゆっくりと玄関に目線を移す。



カチャッ



郵便受けが小さい音をたてた。


………ッ!!!!!


息を飲んで、ドアにすり寄る。覗き穴にそっと目を近付ける。


…………………


何も見えない。


気のせいか?





ヒッッッ!!!!!!!!




ゆ〜っくりと
目線を下に落す。


足に感じる
この生暖かい物の正体を知る為に。



4本の指


ウぁぁぁッ!!!!


思わず後退りした拍子に、俺は尻餅をついた。

すると指はスッと引っ込み、カタッと音をたて小さく開いた。

目が俺を舐め回す様に見ている。

ズ〜ット、ミテタヨ

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