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特別ではない主婦(35)

[236]  紀々  2008-11-03投稿
と、とりあえず。
休もう・・・とにかく座りたい(泣)

公園入ってすぐのベンチに座る。はぁ〜もう、驚いた・・・。
こんなに走ったのも、こんなに驚いたのも、どれくらい振りかな(汗)
心臓いくつあっても足りないわ、あ〜ビックリした(ため息)

ん〜っと両手をあげて、伸びをする。
ピタ・・ッと両手をあげきったところで、私の動きも呼吸も。一時的にフリーズ。

「飲む?」と、目の前に缶コーヒー。
「元陸上部、なめんな」
そう言ってネクタイゆるめる彼が居た。

「は〜っ、走ったなぁ、久しぶりに走ると、キッツイわ、流石に」
そう言って、私の隣に彼は座った。
缶コーヒーをもう一度、私に見せて「で、飲む?飲まない?」と笑った。

フリーズ解除。ゆっくり行き場のない感じで手をおろし、
「い、いただきま・す」と缶コーヒーを受け取って。ボソッと、
「追い掛けてくるとは」
・・・・・・。
少し沈黙。

「ん?思わなかったってか?(笑)」
と、彼が私の顔をのぞきこんだ。
ビクッと私は自分の顔を少し引いた。
彼が私の顔をのぞき込んだ距離があまりに近かったから。
記憶の中の、かわいらしいキスを思い出すには充分過ぎた。
体が強張る。肩に力が入ってしまう。
それを悟られないように私は座り直した。

「誰だかわかんなかったわ。何、今日って、仮装大賞みたいの、やるんだったの?(笑)」
缶コーヒー開けながら、彼は言った。
「んなわけないでしょ」
と、私も缶コーヒー開けながら言う。

同時くらいにコーヒーをすすって。お互いに、ズズッと音がして。
しばし沈黙。

「そういう冗談言えたんだね」ちょっとイヤミ臭く私は言った。
ドキドキは続いていたけれど、不思議な事に肩のチカラは抜けていた。

「言いますよ、オッサンに片足突っ込んでますから?(笑)」
コーヒーの缶を手の平で挟んで揺らしながら、彼は笑った。
「なんで目的地と逆に走る!?今から行っても、もうなんか微妙な感じじゃねぇか」
「・・・スミマセン」

座ったまま頭下げた。
「飯、食いに行くか」

「えっ・・・!?」
慌てて彼を見た。
彼と初めて、そこでまともに目が合った。

「そんな焦る事でもないでしょ(笑)」
と笑顔。あ、笑顔あんまり変わってない。

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