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違う顔

[392]  キイライ  2008-11-04投稿
目の前によぎる赤色の君

何もないかのように知らぬ顔を僕に見せる

厚い化粧、胸元の大きくあいた薄い布をまとっている


普段の君とは違い過ぎる

だから気付かないふりをする僕に

安心した表情の君


話し方まで違う

僕は騙されていたのか?

横目で気付かれないよう君を見るが

僕の知る地味な君ではない

女はこわいな…そう思った時

君は、僕に周りの男等に内緒で紙を渡した

嫌いにならないで

と書いてあった

最後にセクシーなダンスを披露した君

みんなの拍手に包まれている

僕も思わず手を叩いた

こんなことできるなんて知らなかったな…

僕は少し落ち込んだ


僕と同じようにおっとりして優しい感じの少し地味な君を好きになったのだが

付き合って二年、ずっと知らなかった

というか今日偶然上司にこの店に誘われるまで、こんな君を見ることはなかっただろう

僕は、二次会のカラオケを断り家に帰った

しばらく、今日見たのは嘘だと自分に言い聞かせた

そして寝た

次の日の朝目覚めると携帯にメールが入っていた

昨日は驚かせてごめんなさい

彼女…君からだ

ズボンのポケットから出てきた紙、君の字で…嫌いにならないでと書いてあるのを見つける

現実だ


僕はどうしたらいい?

考えてみれば、もう彼女にしておく理由もなければ共通点さえない

電話してみようか…と考えていたら

電話がきた、彼女からだ
あっ…昨日はごめんなさい。驚かせちゃったね。ずっと秘密にしてるつもりなかったんだけど、言うタイミングなくて

彼女はいつもより早口でしゃべる

あの時のしゃべり方だねって皮肉っぽく僕が言うと

彼女は黙った

しばらくの沈黙の後、彼女はまた、ごめんなさいと言った

いいよと僕が言うと

もう嫌いになったってこと?と不安そうに言う

僕は、そんなこと一言も言ってないだろ

ただ、驚いたよ。あんなに素敵な君を見て、正直僕で良いのかと…

しばらくの沈黙のあと、君は話した

素敵?ありがとう。

電話の向こうですすり泣く声がかすかに聞こえてくる

これからもお願いしますと君の声

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