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誰が為に我は走る2

[620]  仲 技  2008-11-05投稿
第二章 〜出会い〜
「残念ですが・・剣道はもう諦めて下さい。」
高校に入学して2ヶ月あまり、剣道家、麻倉静奈への突然の引退宣告だった。
「そ、そんないきなりあきらめろって・・たかが骨折なんでしょ?」
「・・・たかがだったらよかったんですけどね・・ほらっ、これを見てください」
医師はレントゲン写真を見せながら詳しく説明し始めた。しかし、聞けば聞くほど剣道家として復帰するのは絶望的なものばかりだった。
「剣道は・・左腕はもう・・ダメなんですか?」
「リハビリをすれば一般生活に支障がないくらいまで回復はします。ですが、それは完治したわけではないので剣道のように特に腕を酷使するスポーツはもう・・。」
でる言葉が見つからなかった。

私の家は剣道一家として有名で、父は警察の剣道師範を勤め、そのためか私や兄、姉は幼さない頃から半ば強制的に剣道をやらされた。その効果あってか私は中学で。兄、姉は中学、高校、大学で活躍し全国でも名を知られるようになった。しかし、父は決して私達を褒めることはなかった。兄、姉はそういうものだと気に掛けなかった。しかし、私は違った。人一倍父に認めてもらいたかったのだ。

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