奈央と出会えたから。<267>
夕暮れどきの、この公園に来ると、去年の夏休みを思い出す――
そう――
この公園は、聖人との思い出がいっぱい詰まった場所だから――
あたしは、ブランコに腰掛けた。
じわっっ――
また、涙腺がゆるみだす。
『ふぇっ‥‥えっえっ‥うあぁぁ‥‥。』
誰もいない公園で――
あたしは声を出して泣いた。
腫れた目が、
更に腫れるのは分かってたケド、
泣かずには、いられなかった。
何て言葉で表現していいのか分からないほど、
胸の中から込み上げてくる、
熱い思いで、
いっぱいで――
いっぱいで――
あたしのコト、
大好きだって言ってくれたじゃん――
あたしのコト、
めっちゃ大好きだって、
大好きだって――
言ってくれたじゃん――
キィ―‥キィ―‥キィ―‥‥‥
ブランコを漕ぐ音さえも、
まるで泣いているみたいに聞こえた――
何分位そうしていただろう。
『奈央っっ!!』
不意に名前を呼ばれ、
声がした方へ振り向くと、
『ユ‥‥ユカ?!』
そこには、息を切らせて走って来たと思われるユカが立っていた。
『よかった!!後つけて来て。
奈央?!無事だった?!何かされなかった?!
あたし、あの後、聖人の携帯にかけたのに、つながらなくて、
奈央が青山に外に連れ出されたのが見えたから、ずっとつけてたんだ。』
『あ‥ありがとう、ユカ‥‥‥。』
ユカがあたしの為を思って、ここまで心配してくれたのかと思うと、
あたしは、嬉しさで胸がいっぱいになった。
ユカは、あたしと並んで、隣のブランコに腰を掛けた。
『奈央‥‥?!泣いてたの?!やっぱ何かされたんでしょ?!何されたのよ?!青山に!!』
さっき見たばかりの図書室での光景を、ユカに話すべきだろうか。
まさか、ユカと青山さんが仕組んだ罠なをてコトは‥‥ないわよね?!
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