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奈央と出会えたから。<267>

[561]  麻呂  2008-11-07投稿

夕暮れどきの、この公園に来ると、去年の夏休みを思い出す――



そう――



この公園は、聖人との思い出がいっぱい詰まった場所だから――



あたしは、ブランコに腰掛けた。



じわっっ――



また、涙腺がゆるみだす。



『ふぇっ‥‥えっえっ‥うあぁぁ‥‥。』



誰もいない公園で――



あたしは声を出して泣いた。



腫れた目が、



更に腫れるのは分かってたケド、



泣かずには、いられなかった。



何て言葉で表現していいのか分からないほど、



胸の中から込み上げてくる、



熱い思いで、



いっぱいで――



いっぱいで――



あたしのコト、



大好きだって言ってくれたじゃん――



あたしのコト、



めっちゃ大好きだって、



大好きだって――



言ってくれたじゃん――





キィ―‥キィ―‥キィ―‥‥‥



ブランコを漕ぐ音さえも、



まるで泣いているみたいに聞こえた――


何分位そうしていただろう。



『奈央っっ!!』



不意に名前を呼ばれ、



声がした方へ振り向くと、



『ユ‥‥ユカ?!』


そこには、息を切らせて走って来たと思われるユカが立っていた。



『よかった!!後つけて来て。

奈央?!無事だった?!何かされなかった?!

あたし、あの後、聖人の携帯にかけたのに、つながらなくて、

奈央が青山に外に連れ出されたのが見えたから、ずっとつけてたんだ。』



『あ‥ありがとう、ユカ‥‥‥。』



ユカがあたしの為を思って、ここまで心配してくれたのかと思うと、



あたしは、嬉しさで胸がいっぱいになった。



ユカは、あたしと並んで、隣のブランコに腰を掛けた。



『奈央‥‥?!泣いてたの?!やっぱ何かされたんでしょ?!何されたのよ?!青山に!!』



さっき見たばかりの図書室での光景を、ユカに話すべきだろうか。



まさか、ユカと青山さんが仕組んだ罠なをてコトは‥‥ないわよね?!

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