摩天楼 その30
死ぬつもりはなかった。
この中にタビトが紛れているかもしれない。
重い。圧迫感。
リリィは目を凝らしてタビトを探した。
ぼんやりと目に映る。
誰かの手、誰のものかは分からないけど
その手を掴んで力いっぱい引っ張った。少女の力ではびくともしないが、火事場の糞力というものか。
怪獣は苦しみもがく。リリィは腕と一緒に外に放り出された。
「あぁっ」
思いきり尻餅をついた。その瞬間、
怪獣の体がどっと雪崩のように崩れてドロドロと流れた。食べられた人々も一緒に落ちる。
リリィの掴んでいた手が離れた。持ち主は苦しそうに咳き込んでいる。
リリィははっとした。ヒオだ。
「あなたが呼んでたの?!」
「え??なにが?」
おえっ、と泥を吐き出してむせている。向こうでは同じように咳き込んでいる人や動かない人もいる。
「それよか、まだ出てなかったの?」
リリィはぬかるんだ地面に目を落とした。
「だって…」
この中にタビトが紛れているかもしれない。
重い。圧迫感。
リリィは目を凝らしてタビトを探した。
ぼんやりと目に映る。
誰かの手、誰のものかは分からないけど
その手を掴んで力いっぱい引っ張った。少女の力ではびくともしないが、火事場の糞力というものか。
怪獣は苦しみもがく。リリィは腕と一緒に外に放り出された。
「あぁっ」
思いきり尻餅をついた。その瞬間、
怪獣の体がどっと雪崩のように崩れてドロドロと流れた。食べられた人々も一緒に落ちる。
リリィの掴んでいた手が離れた。持ち主は苦しそうに咳き込んでいる。
リリィははっとした。ヒオだ。
「あなたが呼んでたの?!」
「え??なにが?」
おえっ、と泥を吐き出してむせている。向こうでは同じように咳き込んでいる人や動かない人もいる。
「それよか、まだ出てなかったの?」
リリィはぬかるんだ地面に目を落とした。
「だって…」
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