摩天楼 その32
不思議と涙は出なかった。動かないタビトは人形のようであった。
それどころか自業自得だと思えてきた。
(あんなばかなこと考えるから)
(あんたは馬鹿だ)
(なんとか言ったらどうなのよ)
屍はメープルシロップのような体にゆっくりと引き摺り込まれていく。リリィは握った手を離さなかった。動かないはずの手に力が入った。力といってもかよわいものである。
指を彼女の指に絡ませた。
リリィも一緒に飲まれる。
(ねぇったら)
(あたしもひっくり返したい)
(めちゃくちゃにしたい)
メープルシロップのように甘ったるい。
(あなたのために)
(なんだって)
(したい)
(あなたのために)
それどころか自業自得だと思えてきた。
(あんなばかなこと考えるから)
(あんたは馬鹿だ)
(なんとか言ったらどうなのよ)
屍はメープルシロップのような体にゆっくりと引き摺り込まれていく。リリィは握った手を離さなかった。動かないはずの手に力が入った。力といってもかよわいものである。
指を彼女の指に絡ませた。
リリィも一緒に飲まれる。
(ねぇったら)
(あたしもひっくり返したい)
(めちゃくちゃにしたい)
メープルシロップのように甘ったるい。
(あなたのために)
(なんだって)
(したい)
(あなたのために)
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