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航宙機動部隊前史後編・21

[530]  まっかつ  2008-11-09投稿
ガニバサが引き起こした戦争を《六年戦争》と言う。
もしくは、《英雄戦争》とも呼ばれた。
何故なら、敵味方双方に優れた将帥が出現し、独創的な戦術が駆使されたからである。
軍事研究者からすれば、正に垂涎の的。
そう言う意味では、実に豊穣極まる《六年間》ではあったのだ。
だが、それは先の大戦で激減した生産力・経済力を補う為の創意工夫であったと言う側面も否定出来なかった。

ガニバサは、旧ギャームリーグ三宙邦本国を基盤に、全銀河の失職軍人を組織化する事を試みた。
どちらにも、元ネオフリートの部下達を幹部に据える事を構想していた。
強大な銀河連合を、内と外から同時に攻める―ガニバサの戦略は、天才の名に恥じない物であった。

銀河元号一五五0年新年期・ガニバサは航宙軍事総同盟結成を宣言した。
その設立目的は以下の三つである。

1・銀河連合による残酷な討伐から失職軍人を守る事

2・失職軍人を中心に先大戦の被害者への救済

3・その為に現行体制である銀河連合を軍事的手段で改革する事

ガニバサは、この三大綱領を錦の御旗に見立てて、戦争を遂行する様になる。

それから僅か一月後、まだまだ戦力の整備がなっていないのにも関わらず、ガニバサは早くも攻勢に出た。
機動部隊およそ八千隻を率いて、アイアン=トライアングルを出撃した彼は、折しも再び来冦途上にあった銀河連合軍七万隻を、背後から急襲し、大勝を収め、その勢いで辺境の有人星系二つを奪い、四つの反銀河連合勢力と合流する事に成功した。

更には、この星系群を素早くトラップだらけにし、偽の通信で孤立した様に見せかけ、敵艦隊三万隻をおびき寄せ、ゲリラ戦を中心とした闘い方で、六千隻以上の損害を与え、見事に撃退している。

この様にガニバサは戦役当初から自らちょくちょく出撃しては、銀河連合軍を翻弄した。
それは、軍事的勝利を求めてではなく、政治的理由に基づく行動であった。
ガニバサが勝利を重ねる度に、彼の威信はいや増し、失職軍人達からなる反銀河連合勢力による抵抗運動にも弾みが付く。
又、かつての敵地である旧ギャームリーグ三宙邦掌握にも大きく寄与するだろう。
寄り合い所帯なだけに、具体的な戦果を示し続ける事が―それがどれだけ些細な内容であっても―航宙軍事総同盟には、不可欠だったのだ。

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