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最低な気持ち?

[579]  龍王  2006-06-17投稿


今更
何を言われても…

気持ちは無い



「──……蓮華より私は…椿を選んだ。菫さんが妊娠しててもして無くても…私は椿と…」

「鞠花ちゃん…あなた…彼氏が好きなんじゃない?」

「えっ…?」

菫の言葉に、鞠花が驚き動揺する。

「…だって…蓮華を愛してるなら、蓮華と両思いが分かったなら…蓮華を取るでしょ?でも…彼氏を取ったならあなたは彼氏の方を愛してるのよ…」

鞠花の矛盾な態度に、菫は違和感を感じる。

愛する〈蓮華〉より、彼氏である〈椿〉を取るのは、それ程、鞠花にとって椿は大切な存在。

その大切に思う気持ちは〈友愛〉より〈愛〉に近い。

「…つ…ばきは…だって…友達で…私が頼んで彼氏のフリを…それに椿はもう…長くない。…蓮華には菫さんがいるけど…椿には…私以外…いないから…」

「同情にしても…いきすぎ…かなって思う。彼氏を愛してないと…そこまでできないよ」

「……分か…らない」



蓮華をずっと愛してた…
ずっと…
ずっと…

でも菫さんと付き合い始めたのを知った時、崩れそうだった心を支えてくれたのは椿の存在で…



椿がいなくなる
それを考えるだけで
すごく怖い…


いつから…

私の中で
いつから椿は
大きな存在になった?


「椿と会ってから…私は…椿を愛し始めてた…?」

鞠花が呆然と思いを駆け巡らせ、今までの思い出を思い出す。

椿と出会ってから、蓮華を見ても辛くなかった。苦しくなくなった。

それはなんで…?


一度だけ蓮華と過ちを侵した時…

兄と妹に戻りたいと願ったのは…

蓮華の為じゃなくて…
私が戻りたかった…?

蓮華に抱かれても嬉しくなかった
幸せじゃなかった

あったのは罪悪感と後悔

椿を愛していたから
私は…



「鞠花ちゃん…?」
「──……そう…かもしれない。…私は…蓮華をもう…愛していない。…私は…私は…」

いつからか分からない…
でも

ようやく気付いた。


「私は椿を愛してる…」



ようやく気付いた。

私は蓮華では無く、椿を愛している。

でも椿が死ぬ間際に気付くなんて…

なんて私は…

愚かなんだろう…



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