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ひまわり? (4)

[80]  みっきぃ  2008-11-10投稿
〈幸運〉
「私……」
こめかみの部分を手で押さえながら彼女は言った。
それだけ言うとまた眠りに着いた。
(覚えてない…?)
もしかしたら事故の事もそれ以前の事も忘れてしまったのかも知れない。
淡い期待を抱いた。
彼女が持っていたバックを開けた。
財布、携帯、手帳、携帯スリッパ、免許証入れ。
「吉野優美」それが彼女の名前だった。
年は31。僕より2つ年上だった。
それらを元に戻し、押し入れの奥に隠した。どの位の時が経っただろう。
西陽の強いこの部屋に日射しが差し込んで来た。
只々、見つめていた。
「ん…ん……」
体を揺さぶり、こめかみの部分を手で押さえながら起き上がった。「あの…私、どうしてここに…?」彼女が言った。
「お、覚えてないんですか?う、家のアパートの前に倒れてたんですよ」
焦りもあり多少吃りながらそう答えた。
「道路に?何故かしら?そう言えば少し頭が痛いわ。足もちょっと痛いし…」
「日射病で倒れてるのかと僕もびっくりで慌ててこの部屋に運んだんです」
「そうだったんですか。ありがとうございます」
お礼を言われるなんて気が引ける。
「僕は航樹。鈴城航樹って言います。心配はいらないのでゆっくり休んで下さい。後の事は明日考えましょう」「ありがとう。見ず知らずの方に甘えてしまって申し訳ないけど、もう少し休ませてもらって良いかしら」
また布団に寝かせるとタオルケットを肩まで掛けた。
こんなにも上手く行って良いのか…今まで、大した悪い事良い事等しなかった人生。
これからも平凡な毎日を過ごすと思っていた。
記憶が戻らないで欲しいと願った。
もちろん事故が発覚すろのは一番困る。その後すぐに病院へ連れて行かなかった事を追及されると何も言えない。
しかしそれよりも久しく見ることの無かった自分への笑顔。
嘘の上に成り立つ彼女の感謝の言葉も、無気力だった自分の心に染み入ってくるのだった。
(買い物に行こう!)
彼女が目を覚ましたら一緒にご飯を食べようと思い立った。
久しぶりに一人じゃない夕食になるだろう。外から鍵を掛け急いで近くのコンビニに向かった。

笑みが少しこぼれていた。

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