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最低な気持ち?

[614]  龍王  2006-06-17投稿

椿は血を吐き

もう体はボロボロで
数日持つか持たないかと言われるほど

衰弱していた



「……鞠…花…?」

あれから医者が来て、応急処置をした後、椿は病院に運ばれた。
意識不明の重体だった椿が個室病室で意識を戻すと、傍らには目を腫らした鞠花の姿があった。

「椿…椿…」
「鞠花…」

鞠花は椿の名を繰り返し呼んだ。
椿はもう分かっていた。
自分は長くないと…

「椿…私は…あなたがいたから救われた。あなたがいたから生きていた。……だから…これからもずっと…ずっと傍にいる」

鞠花の言葉を訊き、椿は悲しそうに微笑する。

「──……もう…大丈夫」
「椿…」
「もう…いいんだ。鞠花…」
「何を…言ってるの?…私達…ずっと一緒だって…」

椿は小さく首を横に振った。

「……俺が死んでも…お前には…生きてて欲しい」
「──………聞きたくない」
「鞠花…」
「嫌!!椿が死んだら私も死ぬわ…いいでしょ?一人にしないでよ」

鞠花は両耳を手で塞ぎ、椿の顔を見ず、うずくまる。
椿は、小さく背を丸める鞠花の頭に触れると、優しくなでる。

「──……鞠花…お前は俺の〈光〉。だから生きてて欲しい。ずっと…ずっと…俺の分まで…」
「……ッ…ウッ」

鞠花は涙を溢す。
必死に止めようするが、悲しみに満ちた心に溢れる涙は止まらない。

「───……鞠花…お前に会えて良かった。最後まで…俺は独りなのかと思った。…でも…お前がいたから…お前に会えたから…生きてて良かったと思える」
「椿…」
「ありがとう…鞠花」

清々しく微笑む椿に、鞠花は椿をなくす喪失感を察知し、涙を流しながら左右に首を振る。

「嫌…嫌!!許さない…許さないから…死ぬのなんか許さない」
「鞠花…」
「愛してる…椿…私を置いていかないで…いかないで…連れていって…」

鞠花は子供のように涙を流し、無理な事を繰り返す。

「愛してる…椿」
「……」


なんて残酷なんだろう

こんな状況で〈本当〉の気持ちに気付くなんて…


気付かなければ

まだ…
救いはあった



愛する鞠花が目の前で悲しみ、涙を流しているのに…
椿にはもう鞠花を抱き締める力が無かった…

病魔は椿の心と体を蝕む…

感想

  • 1624: (>_<)この後さらに酷い事になりますので悪しからずι作者 [2011-01-16]
  • 1633: (>_<) [2011-01-16]

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