最低な気持ち?
椿は血を吐き
もう体はボロボロで
数日持つか持たないかと言われるほど
衰弱していた
「……鞠…花…?」
あれから医者が来て、応急処置をした後、椿は病院に運ばれた。
意識不明の重体だった椿が個室病室で意識を戻すと、傍らには目を腫らした鞠花の姿があった。
「椿…椿…」
「鞠花…」
鞠花は椿の名を繰り返し呼んだ。
椿はもう分かっていた。
自分は長くないと…
「椿…私は…あなたがいたから救われた。あなたがいたから生きていた。……だから…これからもずっと…ずっと傍にいる」
鞠花の言葉を訊き、椿は悲しそうに微笑する。
「──……もう…大丈夫」
「椿…」
「もう…いいんだ。鞠花…」
「何を…言ってるの?…私達…ずっと一緒だって…」
椿は小さく首を横に振った。
「……俺が死んでも…お前には…生きてて欲しい」
「──………聞きたくない」
「鞠花…」
「嫌!!椿が死んだら私も死ぬわ…いいでしょ?一人にしないでよ」
鞠花は両耳を手で塞ぎ、椿の顔を見ず、うずくまる。
椿は、小さく背を丸める鞠花の頭に触れると、優しくなでる。
「──……鞠花…お前は俺の〈光〉。だから生きてて欲しい。ずっと…ずっと…俺の分まで…」
「……ッ…ウッ」
鞠花は涙を溢す。
必死に止めようするが、悲しみに満ちた心に溢れる涙は止まらない。
「───……鞠花…お前に会えて良かった。最後まで…俺は独りなのかと思った。…でも…お前がいたから…お前に会えたから…生きてて良かったと思える」
「椿…」
「ありがとう…鞠花」
清々しく微笑む椿に、鞠花は椿をなくす喪失感を察知し、涙を流しながら左右に首を振る。
「嫌…嫌!!許さない…許さないから…死ぬのなんか許さない」
「鞠花…」
「愛してる…椿…私を置いていかないで…いかないで…連れていって…」
鞠花は子供のように涙を流し、無理な事を繰り返す。
「愛してる…椿」
「……」
なんて残酷なんだろう
こんな状況で〈本当〉の気持ちに気付くなんて…
気付かなければ
まだ…
救いはあった
愛する鞠花が目の前で悲しみ、涙を流しているのに…
椿にはもう鞠花を抱き締める力が無かった…
病魔は椿の心と体を蝕む…
感想
- 1624: (>_<)この後さらに酷い事になりますので悪しからずι作者 [2011-01-16]
- 1633: (>_<) [2011-01-16]
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