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夢工房

[424]  おぼろづき  2008-11-11投稿
真っ暗な部屋のなかにヒトが二人立っている。片方は背が高くて、もうひとりは小太りで。
えっ?真っ暗なのに何故、二人のヒトが立っている事が、しかも、体型までボクに解るのかって?それは、時折、『ひかり』が差し込んで二人を照らし出すから。いろいろな形の窓の様な穴から『ひかり』が差し込んできては二人を照らし、彼らはその窓のような穴の中を覗きこんでは、笑顔を浮かべたり悲しそうな顔をしているんだ。ボクはそれを幾つもある窓の一つから、いつも彼らを見ているんだ。
だけど。だけどね。
昔は、窓から見える世界をみて、二人は笑顔で楽しそうにしていたのに、最近は何故かわからないけど、すごい悲しそうな顔をしている事が多いんだ。
ずっと前に何故かとおもって彼らが話しているのを聞いた事があるんだ。彼らの一人の背が高いヒトのほうがこういっていたよ。
「何故、最近の子供たちは楽しい夢をみないのかね。みている夢といったら、夢なのに現実的な夢しかみていない。」
って、言っていたんだ。ボクにはよくわからなかったんだけども。現実的な夢ってどんな夢なんだろうって、聞いた時に一生懸命に考えてみたのだけれど、よくわからなくて。そうしたらもうひとりの小太りのヒトのほうがこういっていたんだ。
「豊かじゃなくなったんだよ。昔は貧しくても心は豊かだったけど。いまは違う。なぜなら全ての面で貧しくなってしまったから。身も心もね。解る?」
「それは理解出来るよ。生きる為の手段を考える事だけにしか目がいかないからね。悲しい話だけどね。」
「だけど…。」
「いや、それでも…」

…なんか、暗そうで難しいそうな話だからボクはいつも二人が話をし始めると明るい所に戻るんだ。だって、二人の話を聞いてる時間がもったいないと思うからね。

え、ボクの夢?

ボクの夢は、私立の中学に入学して、それからエスカレーター式で大学に進学するんだ。で、公務員になって………。

部屋の中を覗いていた子供がいなくなった窓を二人が覗きこんで、また、ため息を一つ。

「…また、現実的な夢が生まれた。」

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