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奈央と出会えたから。<273>

[506]  麻呂  2008-11-12投稿

『め‥眼鏡‥‥眼鏡‥‥‥。』



眼鏡をかけ、慌てて部屋の窓から外を覗くと、



聖人が家の前に立っている。



なんか、寒そう。



あれ?!もしかしてケガしてる?!



まだ4月上旬の北海道の夜って、結構寒い。



過去に、4月に入ってから雪が降ったコトもあるくらいだから。



『ま、聖人待ってて。今直ぐ行くからっっ!!』



ふと時計を見ると、10時を回ったところだった。



慌ててルームウェアに着替えたあたしが、



階段をかけ下り、玄関を飛び出すと、



目の前には、少し気だるそうに立ち、



携帯を耳に当てながら、煙草に火をつける聖人の姿があった。



『‥‥‥よっ!!』


目が合うと、あたしに向かって軽く手を挙げた聖人。



『よっ‥じゃないわよっっ!!

聖人どうしたの‥‥そのケガは?!』



聖人は、ケガをしていた。



目の悪いあたしでも、それは窓から覗いたトキに気付いた。


目の上は、切れていて、血が出ている。


『何でもねぇよ。大したコトねぇよ‥‥こんなの‥‥‥。』


そう言って、煙草の煙を吐く口元からも、切って出血した跡が。



『何でも無いワケないじゃん!!

早く上がって!!

手当てしないと!!』



あたしは、ケガの手当てをする為、聖人に家の中に入ってもらった。





シュ―――――ッ―ー‐



消毒液を脱脂綿に付け、



それで、



目の上と、口元を優しく拭いた。



『痛てっっ‥‥‥しみるって。』



『我慢して。消毒しないと、ばい菌が入っちゃうよ。』



切り傷用の軟膏を塗ったガーゼを当て、


絆創膏を貼った。



『聖人。どうしたの‥‥この傷。

ケン‥カ?!』



あたしが心配してそう聞くと、



聖人は、少し考え込んだ表情で、黙り込んでしまったかと思いきや、



『奈央が眼鏡かけてんの初めて見た。

眼鏡かけた顔も‥‥めんこいな?!』



あたしの質問をはぐらかす様にそう言った。

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