奈央と出会えたから。<273>
『め‥眼鏡‥‥眼鏡‥‥‥。』
眼鏡をかけ、慌てて部屋の窓から外を覗くと、
聖人が家の前に立っている。
なんか、寒そう。
あれ?!もしかしてケガしてる?!
まだ4月上旬の北海道の夜って、結構寒い。
過去に、4月に入ってから雪が降ったコトもあるくらいだから。
『ま、聖人待ってて。今直ぐ行くからっっ!!』
ふと時計を見ると、10時を回ったところだった。
慌ててルームウェアに着替えたあたしが、
階段をかけ下り、玄関を飛び出すと、
目の前には、少し気だるそうに立ち、
携帯を耳に当てながら、煙草に火をつける聖人の姿があった。
『‥‥‥よっ!!』
目が合うと、あたしに向かって軽く手を挙げた聖人。
『よっ‥じゃないわよっっ!!
聖人どうしたの‥‥そのケガは?!』
聖人は、ケガをしていた。
目の悪いあたしでも、それは窓から覗いたトキに気付いた。
目の上は、切れていて、血が出ている。
『何でもねぇよ。大したコトねぇよ‥‥こんなの‥‥‥。』
そう言って、煙草の煙を吐く口元からも、切って出血した跡が。
『何でも無いワケないじゃん!!
早く上がって!!
手当てしないと!!』
あたしは、ケガの手当てをする為、聖人に家の中に入ってもらった。
シュ―――――ッ―ー‐
消毒液を脱脂綿に付け、
それで、
目の上と、口元を優しく拭いた。
『痛てっっ‥‥‥しみるって。』
『我慢して。消毒しないと、ばい菌が入っちゃうよ。』
切り傷用の軟膏を塗ったガーゼを当て、
絆創膏を貼った。
『聖人。どうしたの‥‥この傷。
ケン‥カ?!』
あたしが心配してそう聞くと、
聖人は、少し考え込んだ表情で、黙り込んでしまったかと思いきや、
『奈央が眼鏡かけてんの初めて見た。
眼鏡かけた顔も‥‥めんこいな?!』
あたしの質問をはぐらかす様にそう言った。
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