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奈央と出会えたから。<274>

[506]  麻呂  2008-11-12投稿

『家ではコンタクト外すから。

いつも眼鏡だよ。

それより質問の答えがなってないよ。

そのキズはどうしたのって聞いてるのに。』



『‥‥‥‥‥。』



『どうして黙ってるのよ?!何があったのよ‥‥聖人‥‥。』



あたしがした質問の答えを聞く前に、



あたしは、聖人に質問された。



『奈央‥‥オマエ本当に今日、何も無かったのか?!』



『さっき何もないって言ったじゃない。
それよりあたしの質問に先に答えてよ。』



あたしがそう言い終わるか、言い終わらないかのうちに、



聖人は、あたしの言葉をさえぎる様に、こう言ったんだ。



『今日は本当に何も無かったのか?!

本当に?!』



ビクンッ――



聖人の声は、ほとんど怒鳴り声に近くて、



あたしは一瞬、ビクッとしてしまった。


聖人の真剣な眼差しは、しっかりとあたしの瞳に映し出されている。



その切れ長のするどい目つきは、



あたしに向けられるトキだけは、



いつも優しい穏やかな目になるのに――


いつもと違う、そのするどい目つきに――



あたしは、既に聖人に嘘を見透かされているんだって悟った。



『‥‥呼び出された。』



呟いたあたしの言葉で、聖人の目つきは更に鋭さを増した。


『‥‥‥やっぱりな。3年の青山だろ?!青山サオリ。』



『‥‥‥うん。』



『あの野郎。さっきすれ違ったトキ、なんか様子がおかしいと思ったら‥‥‥。
奈央っっ。何された?!

青山に何されたんだ?!』



聖人は、両手であたしの顔を挟み込み、


真剣な目をして、顔を近付けて来た。



至近距離で見つめられたら、



もう、隠し通せなかった。





『忠告されたの。

聖人から手を引けって。

そして、図書室で聖人が3年の女のコと抱き合ってるのを見せられたんだ。』



あたしの話を聞いた聖人は、



納得した様にコクリと頷いた。



そして、ゆっくりと優しくあたしにこう言ったんだ。

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