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幸運の女神 2

[806]  朝倉令  2006-06-17投稿


「いらっしゃいませ〜」



俺、倉沢諒司はバイト先のファミレスで、来店してきた女性客に営業スマイルを向けていた。



「あれーっ!あんた…」


「恵利花ったら、どーしたの?」


「ねェ、聞いて聞いて!
この人ね、えっちの達人なんよ。
…も〜、すっごいの!!」


「うそーっ!……マジ?」

「お、お客さま……ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい」




他の女性客や、エリカの連れの娘たちに強烈な好奇の視線を浴びながら、俺はサッと厨房に逃げ込んだ。




表の話がまるっきり筒抜けだったようで、スタッフの連中がニヤニヤしながら俺の焦った様子を眺めている。


(あれだけデカい声で話せば当然の事だが……)



「諒司くぅ〜ん、お盛んだわねェ。  あまり羽目外すと後のフォロー大変よ?」


「いえ、美和さん、そんなんじゃないですよ…」



俺を横目でチロッと一瞥した店長の手島美和が、意地悪い口調でからかってきた。


彼女はかなりの美人だが、性格がムチャクチャきつい。
…はっきり言ってサディストの疑惑があるくらいだ。




「ま、頑張ってオーダー取ってきてや、えっちの鉄人君。  おっと、達人かぁ、あははは」


「チョーさんまで… 勘弁して下さいよ〜っ」




俺は調理スタッフのチーフ長島幸司のはやしたてる声を背に受けながら、グッと覚悟を決めてフロアへと戻った。







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