携帯小説!(PC版)

トップページ >> その他 >> 夢工房―4

夢工房―4

[390]  おぼろづき  2008-11-14投稿
いったいここはどこなんだ。おれは事務所に帰ってきたはずなんだが。
まったく違う部屋に、今、立っている。電気もない、明りもない、窓らしきものも所々にあるのは見てとれるが、割れたり曇ったりして窓の役割をまったく果たしていねえ。

まったくなんなんだ、この陰気くせえ部屋は…。
そして、一番腹立たしいのは目の前にランプを持ちながらこっちをずっとみているジジイ二人だ。
「なんだ、てめえらは。ていうか、ここはどこなんだよ。なんか言え、こら。」

でかいジジイが後ろを指差し、「お前は自分がしてきた事を理解しているのか?」とか言ってきた。はあ?なに訳解んない事言ってやがるんだ。
「お前がこれまでなにをして来たか解るか?」
今度はチビデブのジジイがゴチャゴチャと。
金貸して返してもらってなにが悪いってんだ。
相変わらず後ろを指差したままだからおれは後ろを振り向いた。
なげえ廊下が後ろに延びてて。壊れた街頭が何個も何個も見える。が、それがどうしたっていうんだ。
「あのガラクタが、なんだってんだ。」

「なにも感じないか?」ただのガラクタじゃねえか。なにを感じるっていうんだ。

「お前には、優しさはないのか?」

いきなり足元から声が聞こえた。イライラしながら下を見ると小さい子供が一人いる。そいつは一言いった後、すぐに駆け出して見えなくなった。なんだ、いまのクソ餓鬼は。本当にイライラする。
「てめえらは、なにを言いてぇんだよ。おれは早く帰りてえんだよ。ジジイや餓鬼をかまってるほどひまじゃねえんだ。」おれは続ける。
「優しさがどうした。優しさが飯を食わせてくれるのか。第一優しさってなんなんだよ。困っている人を助けることか?この世界に、そんな不確かなものは必要ないんだよ。金しか確かなモノはねえんだ。解るだろ。国が滅びない限り金は人を裏切らねえ。人より金しか信じられねえな」
おれは、一気に言葉を続けた。そして最後にこういった。
「人は平気で人を裏切るが金は裏切らねえ。」
奴等は悲しそうな目を向けておれに問う。それでいいのかと。
「当たり前だ。今さら生き方を変えられるか。」そう答えた瞬間、おれは目の前が真っ暗になった。




…雑居ビルの前に規制線が引かれており、刑事の話声がきこえる。
「被害者はサラ金の社長、加害者は…その妻か」

感想

感想はありません。

「 おぼろづき 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス