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奈央と出会えたから。<277>

[496]  麻呂  2008-11-16投稿

聖人が、チラッとあたしに向かって流し目をする。



『あのな、俺と“魔羅威夜”のアタマの京谷 龍二(キョウヤ リュウジ)は、以前から知り合いだったんだ。
京谷は“魔羅威夜”に入るコトを勧めてきたが、俺は断った。

俺、族に入るのが嫌だったし。

バイクは好きだから乗ってるワケじゃん?!』



『う‥‥うん。』



『その後も何度か京谷に誘われたけど、俺はずっと断り続けてきた。

だから今回、まさか女のコトでヤツともめるとは思ってもいなかったぜ。

つい最近、久々に街で会ったトキ、いきなり言われた言葉が“俺の女に何ちょっかい出してんのよ?!”だぜ?!

もちろん、俺は青山にちょっかい出した覚えもねぇし、

出すワケないじゃん?!』



『うん。』



『その日は、それで治まったけど、

さっき、また街で偶然、京谷と会っちまってよ。

いきなり殴りかかって来たから、俺も殴り返した。

京谷が言うには、青山は俺のコトが好きらしい。

知るかよ、ンなコト。
それで、

京谷は俺のコトが、青山は‥‥‥奈央、オマエのコトが気に入らねぇんだと思う。』



青山さんが聖人のコトを好き‥‥‥?!


でも、



そんなの逆恨みだよ‥‥‥。



青山さんも‥‥‥



その、



京谷さんてヒトも‥‥‥。



『だから青山さんは‥‥あたしと聖人の仲を引き裂こうとして、

図書室に聖人と3年の女のコを呼んで、くっつけようとしたってワケね‥‥‥。』



『おぅ。今の所、言えるのは大体そんな所だ。』



聖人が暴走族のアタマと交流があったなんて‥‥‥。



もちろん初めて聞いたし。



凄く驚いた。



だって、



あたし達、



まだ中学生だし。



聖人は無免でバイクに乗ってるワケで。


怖いよ。



なんか、



あたしの知らない聖人の世界が、



またどんどん広がっていく様な気がして。



聖人が、



どこか、



遠くへ行っちゃう様な気がして。



せっかく、



聖人のコト、



近くに思える様になったのに。



あなたは、



また遠くへ行ってしまうの?!



そんなの、



嫌だよ‥‥‥。

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