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はるまついぶき 3

[405]  東雲  2008-11-16投稿
そこにはリリーがかかれていた。最初は同名の人かと思ったが顔をかいた絵を見て確信した。はなればなれになってから何年も経っていたが紛れも無くリリーの顔だった。

「リリー?おお美人だな。でも炭鉱では働けないな。力もなさそうだし特技は絵描きだってよ」
ヒューズは言った。

そんな!あのリリーが[売り物屋]に売られてる?将来画家になるって言ったじゃないか!
ハルは驚愕した。驚きと失望感が交差する。しかしそこでふとハルは閃いた。

リリーが[売り物屋]に売られたのならそれを俺が買えばいい。

「ヒューズ。このNo.26リリーはいくらなんだい」

「えっ?ちょっと待ってくれ」
ヒューズは紙をめくり値段の項目を見た。No.26を探す。

「あった。No.26はーー」それはこの小さな炭鉱でいくら働いても到底払えない額だった。もともと[売り物屋]の商品は高い。
「そんな…」
ハルの考えはそううまくはいかなかった。

「おい。本当にこのリリーっていう人を買う気なのか。そんなに気に入ったのかい?」
ヒューズは心配そうに言った。

「まあ…な」

リリーを助けるんだ

助けるんだ。

ハルは決心していた。

「すまんヒューズ。金を貸してくれ」
ハルは土下座した。どうしても金が必要だった。

「…わかった。そこまで言うなら貸すよ」
ヒューズは少し呆れた様子でハルにお金を貸した。その後もハルはいたる人達に頭を下げた。

同僚のバンク、友達のラリー、大工のシーベルト、肉屋のアイク、花屋のメアリ…

でも足りなかった。

ハルは困り果てていた。早くしないとリリーが誰かに買われてしまう。ある時ハルの事を聞いた誰かが皮肉混じりに言った。
「シルバードラゴンの涙でも探すしかないんじゃないの?」

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