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幸運の女神 3

[626]  朝倉令  2006-06-18投稿


俺が通り過ぎるたび、女性客たちの目が一斉にキラッと光る。



…今の心境は、いわゆる『針のムシロ』というヤツ。



「あ、ウエーターさん、こちら追加お願いします」


「はい、かしこまりました。  追加オーダーで宜しいですね?」


「ええ。 …あら、お若いのね、うふふっ」


「い、以上でよろしいでしょうか」



テーブルを離れるとき、オーダーシートの上にさりげなく置かれた電話番号のメモ…




そこで、一部始終をじーっと眺めていたエリカのドでかい声が炸裂した。



「あーっ!こらリョージ、浮気すんなよーっ!」






(トホホ… えらいのに手ェ出しちまった……)



そこかしこでクスクス笑う声がする中、泣きたい思いを笑顔の下に押し隠して、俺はラストオーダーまで気合い(ヤケクソ?)で何とか乗り切った。





「あはは、災難だったなぁ諒司君。 モテ男もほんっと辛いよねー」


「……冗談ポイッすよ全く。恐い女って店長ばかりじゃないもんですね」





「…誰の事かしら?」


「そりゃあ、誰って… うわっ!み、美和さん!」



眉間にタテジワを寄せ、怒りにプルプルと肩を震わせた手島美和を見た瞬間、今夜の災難の『仕上げ』を予想できた…



(元凶は、エリカ……か)




…その恵利花と三度目に会うのが、これまた思いがけない場面であった。








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