本来、噂話は高校生ならば盛り上がるはずだが、私にはとても笑えない話だった。

『あっあみり・・・実はさ・・・今日ね』

『あっ？ゆり今日誰かと居たよね〜あっ！そのチョコとって』

『うん。。』

私はチョコをあみりに渡してまた口を開きかけた。

『今日ね』

『あっ喧嘩してたんでしょう？まさか彼氏候補かな？喧嘩するほど何チャラララ〜だし』

私は本当の事は言えなかった・・・
その噂とあの男と扉・・・そして私に呟いた紗耶香という人物・・・。

これ以上踏み込めば、ただでは済まない気がする・・・
あみりを巻き込みたくない・・・

『あっ！そのお菓子も、そそるわ〜』
『そそるって・・・』

『ゆり！アンタさぁまさか、ウチを巻き込みたくないとか思ってない？？』

図星だ・・・

『あんたが噂を自分から聞いといてさっ、食いつかないって事は一人で考えてる証拠じゃん』

私は黙り込んでしまった・・・

『いんでない？関わらないでさっ〜夢だけ見ればさっ』

『そっそうだよね！なんか元気でてきた！ボイトレでもするかっ』



明るい日常・・・って普通に通り過ぎていくもの・・・

しかし・・・忘れてはいけない・・・私は殺人犯にもう縛られていることを・・・
普通ならば警察に通報して終わりなのだが、 不思議な事に殺された三人のニュースもやっていない・・・
街の真ん中で昼間からそんな事件があれば、噂好きなあみりの耳にも入るだろう・・・


どうして・・・何もなかったかのように、また明日がきてしまう様子だ。

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