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ギャグ・クエスト2

[514]  雛祭パペ彦  2006-06-19投稿
 その巨大なモンスターは、突然襲いかかってきた。
 まさか、一般の住宅街を歩いている途中で、全長18メートルもの巨大モンスターに出会うなどとは思いもせず、勇者たちは戸惑いながらも、必死で戦った。
 ところで、いくら魔王やその手下たちを退治するためとはいえ、何をしてもいいわけではない。勇者といえども、他人に迷惑をかけて許されるわけではなかった。
 たとえば、戦闘中に、一般人および一般人が所有する建物や財産に被害を与えた場合は、弁償しなければならない。
 さいわい、魔王退治を命じた国王が、勇者たちに「RPG損害保険」というものを掛けてくれているので、金銭的な負担はなかった。
 しかし、損害保険だけではカバーできないこともある。
「ちょっと、あんたたち! 人の家の前をこんなに汚したんだから、ちゃんと片付けていきなさいよ!」
 サンダル履きのおばさんが、ヒステリックな金切り声で、勇者たちを叱りつける。
「あ、はい、もちろんです。ぼ、僕たちが責任を持ってキレイに掃除していきますので。ど、どうも、ご迷惑をおかけしておりますです」
 つい先程、戦闘を終えたばかりの勇者が、愛想笑いを浮かべながら答える。他の三人も、だいぶ疲れていた。しかし、自分たちがブチ殺したモンスターの死骸や血ヘドを片付けるのは、冒険をする者の義務なのだ。
「じゃあ、始めようか」
 フラフラになりながらも、勇者たちは、この前買ったばかりのキャンピングカーのトランクから、バケツ、雑巾、洗剤、デッキブラシ、ホースを取り出す。
「ええと、あのう、も、申し訳ないんですが、お宅の水道をお借りしたいのですけれど…」
 険しい表情を浮かべている主婦に、勇者が恐る恐るたずねた。
「水? 別にいいけど、10秒につき10Gね」
「あ、はい。も、もちろん使った分の水道代はお支払いいたしますです」
 平身低頭、これ以上ないというくらいの態度で礼を述べると、ホースを片手に持った勇者は、水道の蛇口に向かって歩いていく。
「ストップウォッチで計ってるから、水道代をごまかそうとしても無駄よ」
 そう吐き捨てるように言って、主婦は家の中へ戻っていった。
「あーあ。あたしたち、いつになったら魔王退治を果たせるんだろう……」
 しみじみと魔法使いの少女がつぶやくと、他の三人も、疲れきった表情で溜め息をついた。

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