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ロストクロニクル3―17

[390]  五十嵐時  2008-11-22投稿
「なんて魔力だ」
タクトはその火柱を見てただただそう思うだけだった。
「おい、フラット、今自分が何をしたのか分かってるのか!」
ウェドが倒れているタクトとシャープを下に見ながら、フラットに怒鳴った。
「あなたたちが、邪魔したからですよ」
フラットの声はどこか震えていた。
「フラット、まだ今なら止めれるわ。さぁ、その石を手離して」
パールも必死に説得を始めた。
「ここならムシもいないぞ」
「いや〜やっと安心できるな〜」
村人たちがムシの襲撃から逃れてきたようだ。
「もう、遅いんですよ」
フラットはこちらにやってくる村人たちの方を見ていた。
「フラ、止めて!」
シャープが立ち上がり、叫んだ。
フラットは杖を村人たちに向け、炎の柱を放った。
「なんだ!」
「うわー!」
村人たちに容赦無く炎が放たれる。
「こんな村、もう要らないや」
炎が今度は魔導師たちの家々へと向けられた。村が一瞬の内に炎の海と化した。
「なんてこと・・・」
シャープは手のひらに顔をうずめ、膝から崩れ落ちてしまった。
「あっ、ミューク!」
ウェドが指さした先からミュークが走って来た。
「止めろ!」
ミュークは来て早々、手のひらから大量の水をフラットに浴びせた。
フラットの放火が止んだ。
「ミューク校長先生、邪魔しないでください」
物静かで哀しそうな声だ。
「分かってるのか!君は今、取り返しのつかないことをしているんだぞ」
ミュークの激が飛ぶ。
「魔導石って左手に持ってるあれかな?」
タクトがフラットの左手にある、拳大の丸い形で紅く輝く石を見つけた。
「すみません。でも、邪魔をしないでください」
フラットは相変わらずの口調で返すと、杖をミュークに向けた。
「何するを気だ!」
「すみません。邪魔な人は復讐の対象なんです」
フラットの火柱が飛ぶ。その火をミュークは水柱で受け止めた。炎と水が激しくぶつかりあっている。
あれ?ミュークさん少しおかしいような・・・
「可哀想なフラット・・・助けてあげないと・・・」
パールが独り言を漏らした。 ウェドはミュークと交戦中のフラットに近づき、腹をハンマーで叩きつけた。
「うっ」
フラットは座り込んだ。
「魔導石よ・・・力を」
魔導石を強く握り締めた。

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