奈央と出会えたから。<283>
聖人が母にそう言うと、
母は、その言葉の意味を理解するのに少しの間、考え込んだ表情をしていたケド、
『‥‥‥そんなコトないわよ。
でも、聖人君のお父さん、凄くステキな方だと思うわよ。
いつも、職場の方達を連れて、お弁当を買いに来てくださるのよ。
聖人君、お父さんによろしくお伝えしてちょうだいね。』
あたし達の期待する答えは当然、返って来る筈もなく――
そう言って、うまくかわされてしまったんだ。
『はいはい。聖人君。朝ごはんしっかり食べていってよ〜〜!!
奈央。ちょっと手伝ってちょうだい。
先に、聖人君にコーヒー入れてあげて。』
『う‥‥うんっっ。』
お母さん――
昨夜も夜遅くにスナックの仕事から帰って来たのに、
あたし達の為に、
こんなに気を遣ってくれて、
ありがとう――
あたしの為だけではなく、
あたしの大好きなヒトの為にまで――
お母さん――
聖人のお父さんのコト、
どう思っているのかな――
聖人のお父さんは、
多分、お母さんに好意を持っているよね。
いつも“女”である前に、
“母”であってくれたお母さん。
あたしのコトを第一に考えてくれたお母さん。
そんなお母さんに、
あたしは、いつも感謝しているよ。
でも――
本当に心から好きなヒトに出会えたトキは――
そのトキは――
あたしに――
あたしに絶対言ってよね――
毎日本当にありがとう――
大好きな‥‥
お母さん‥‥‥。
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