はるまついぶき 6
ハルは50箱目のマッチ箱からマッチを出してランプに火をつけた。洞窟の中は何も見えない。ランプの明かりだけが頼りだ。暗くて、怖くておかしくなりそうだった。いったいシルバードラゴンはどこにいるのだろう。
「待ってろよ。リリー」
ハルは行き先のわからない暗闇をひたすら歩いた。
「早くしろ。No.26」
リリーは[売り物屋]のオーナーに呼ばれた。ハルから手紙を貰ってから一ヶ月が経っていた。その間リリーはずっと絵を描いてハルを待った。それでも間に合わなかった。リリーの買い手が決まってしまったのだ。もう別に怖くとも何ともなかった。私が買われてもハルは必ず救ってくれる。そう信じて。
「いい買い物をしましたな。ダズさん」
オーナーは手をこすりながら言った。
「いやまったく。彼女の才能はすごいものだよ」
リリーの買い手のダズは言った。ダズは美術館の館長だった。そしてリリーの手から手錠が外されダズに買われた。毎日リリーは絵を描かされた。大変だった。ひどい扱いもされた。でも夜は寝る間も惜しんでハルのための絵を描いていた。
「待っているよ。ハル」
そう呟きながらリリーは絵描き続けた。
「ハア…ハア…」
ハルが[魔界の洞窟]に入ってから三ヶ月経った。ランプの火はとうの昔に消えていた。マッチもない。食料もなくなった。足がもう動かない。目が霞む。ハルは満身創痍だった。暗闇を一人さ迷っていた。
シルバードラゴンはまだ見つからない。
「リ、リリー…」
気づくと何度もそう呟いていた。もうだめなのかと思った。ふとハルは最後の力を振り絞って叫んだ。
「なあ神様。あんたどこかで俺を見てるんだろう。だったら救ってくれよリリーを。助けさせてくれよ俺に。俺がもがくのを見て笑ってんじゃねえ!リリーが待ってるんだ!」
そしてハルは意識を失った。
「待ってろよ。リリー」
ハルは行き先のわからない暗闇をひたすら歩いた。
「早くしろ。No.26」
リリーは[売り物屋]のオーナーに呼ばれた。ハルから手紙を貰ってから一ヶ月が経っていた。その間リリーはずっと絵を描いてハルを待った。それでも間に合わなかった。リリーの買い手が決まってしまったのだ。もう別に怖くとも何ともなかった。私が買われてもハルは必ず救ってくれる。そう信じて。
「いい買い物をしましたな。ダズさん」
オーナーは手をこすりながら言った。
「いやまったく。彼女の才能はすごいものだよ」
リリーの買い手のダズは言った。ダズは美術館の館長だった。そしてリリーの手から手錠が外されダズに買われた。毎日リリーは絵を描かされた。大変だった。ひどい扱いもされた。でも夜は寝る間も惜しんでハルのための絵を描いていた。
「待っているよ。ハル」
そう呟きながらリリーは絵描き続けた。
「ハア…ハア…」
ハルが[魔界の洞窟]に入ってから三ヶ月経った。ランプの火はとうの昔に消えていた。マッチもない。食料もなくなった。足がもう動かない。目が霞む。ハルは満身創痍だった。暗闇を一人さ迷っていた。
シルバードラゴンはまだ見つからない。
「リ、リリー…」
気づくと何度もそう呟いていた。もうだめなのかと思った。ふとハルは最後の力を振り絞って叫んだ。
「なあ神様。あんたどこかで俺を見てるんだろう。だったら救ってくれよリリーを。助けさせてくれよ俺に。俺がもがくのを見て笑ってんじゃねえ!リリーが待ってるんだ!」
そしてハルは意識を失った。
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