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はるまついぶき 8

[374]  東雲  2008-11-30投稿
シルバードラゴンはその涙をビンに一滴入れハルに渡した。一滴でもビンはいっぱいになった。

「さあこれで彼女を助けなさい。約束なのでしょう?」
ハルは嬉しさのあまり泣いていた。

「ありがとう。ありがとう」
ハルは震えながらビンを受け取った。

「…さて、では私の背中に乗りなさい」
シルバードラゴンはしゃがみ込みハルを背中に乗せた。

「どうするんだい?」
と、ハル。シルバードラゴンは優しく言った。

「リリーのところへ行くのさ」


「できたあ!」
リリーは声をあげた。ハルの絵がとうとう完成したのだ。今までで最高の出来映えだ。

ハルはまだ来ない。

でも全く悲しくなかった。ハルは必ず来る。なぜか確信があった。

ドンドン!

ドアを叩く音がリリーの部屋に響いた。

ハル?

リリーはそう思った。ハルが私を助けに来たんだ。やっぱり来てくれたんだ。リリーは勢いよくドアを開けた。

「何を騒いでいるんだ。こんな夜中に」
そこにはダズがいた。イライラした顔をしている。ハルではなかった。がっかりするリリー。

「すいません。ちょっと…」
ダズは部屋の奥に目をやった。そこには今まで見たことのない絵があった。ダズはすごい顔をして驚いた。

「なんだあの絵は!」
しまった!ハルの絵がダズに見つかってしまった。慌てるリリー。

「どけ!」
ダズはリリーを押し出しその絵の前に立った。

「…なんてきれいな絵だ」
ダズはしばらく絵に見とれていた。そしてはっと我に返り、リリーを怒鳴った。

「なんでこの絵を俺に黙って描いていた。もっと早く俺に渡せ!」

「い、いやこれは…」
リリーは返事に困った。

「うるさい!」
ダズがリリーを叩こうとした時、突然大きな風が吹いて家を揺らした。ぐらつく二人。

「何だ?」
ダズはベランダに出た。そしてダズは目を疑った。
「シルバードラゴン?」

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