オワリとハジマリの間のお話し
(あと、一日か・・・)
電車の車窓を見ながら考える
この景色を見るのもあと一回
春にはこの線はもう使わない
もしかしたらこの先
一生
使わないのかとさえ思う
私は左指の薬指に目を落とした
そこには私と3年間共にした
前の彼氏とのリングが
自己を主張している
(君の恋人は・・・)
指輪に心で話しかけて
一瞬つまる
(君の恋人は・・・土の中にいるんだよ)
(寂しいね・・・・)
私は3年間
一度も外さなかった
リングを自分の指輪から抜いて
電車の窓の下においた
`俺を置いて行くの?'
ふいに
対になってるリングの声が
聞こえたような気がした
もしかしたら
彼の声だったのかもしれない
私は静かに泣いて
リングを残し電車を降りた
電車は走り出す
私の思い出と
3年間でこれでもかと言うほど
美化されてしまった
私の恋心を乗せて
そうだ
左手の薬指にバンソウコウを貼ろう
心に貼れない変わりに
私の罪を隠すために
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