あいつの笑顔
冬の風が突き刺さるように痛い。
手袋をしてはいるが指先の感覚なんてまるでなかった。
12月の半ば
大学に入って二年目の冬だ。元々、都会に憧れていた僕は高校の時に、地元でバイトをしながら、コツコツとお金を貯めていた。
親は自営業を営んでおり、僕を都会に出すことから反対していたが、その反対を押し切り、上京。
公園のベンチに腰を掛け、物思いに耽っていると、携帯の着信がなった。
最近の曲に詳しくない僕は、とりあえず携帯に入っている、クリスマスソングを着信音にしている。
「はい、もしもし」
電話を取る。
「ごめんね、もうちょっと遅くなりそうだから、先に行ってて。」
「あぁ、解った。」
こんなやりとりだった。
今日は彼女との久しぶりのデートだ。僕は乗り気ではなかったが、半ば強引に約束をこじつけられ、揚げ句の果てがこれだ。
彼女とは同じ大学のサークルの後輩で半年前に知り合った。その時も半ば強引に付き合わされてしまった。
「はぁ…たく、もう」
ここで、待つわけにもいかなくなり、僕は目的の場所まで歩き出した。
あまりに寒くて、行き掛けにホットコーヒーを買って行く事にした。
夕方が近づき町のネオンもちらほらと輝き出す。幻想的な風景だ。クリスマスも近い事もあり、人が多い。しかし、その人込みは汚く見えた。そこら中に唾を吐く奴らや、人の迷惑も省みず、道に座って談笑している奴ら…この幻想的なネオンには決して似合わない。
歩幅を早め、目的地へと向かう。
「ねぇ、映画を見に行こうよ」
電話があったのは昨日の夜だった。彼女は映画とかそういった類のものに全く関心がなく、その上、僕から誘った時も行く素振りすら見せなかった彼女が、突然そんな事をいうなんて思ってもみなかった。
手袋をしてはいるが指先の感覚なんてまるでなかった。
12月の半ば
大学に入って二年目の冬だ。元々、都会に憧れていた僕は高校の時に、地元でバイトをしながら、コツコツとお金を貯めていた。
親は自営業を営んでおり、僕を都会に出すことから反対していたが、その反対を押し切り、上京。
公園のベンチに腰を掛け、物思いに耽っていると、携帯の着信がなった。
最近の曲に詳しくない僕は、とりあえず携帯に入っている、クリスマスソングを着信音にしている。
「はい、もしもし」
電話を取る。
「ごめんね、もうちょっと遅くなりそうだから、先に行ってて。」
「あぁ、解った。」
こんなやりとりだった。
今日は彼女との久しぶりのデートだ。僕は乗り気ではなかったが、半ば強引に約束をこじつけられ、揚げ句の果てがこれだ。
彼女とは同じ大学のサークルの後輩で半年前に知り合った。その時も半ば強引に付き合わされてしまった。
「はぁ…たく、もう」
ここで、待つわけにもいかなくなり、僕は目的の場所まで歩き出した。
あまりに寒くて、行き掛けにホットコーヒーを買って行く事にした。
夕方が近づき町のネオンもちらほらと輝き出す。幻想的な風景だ。クリスマスも近い事もあり、人が多い。しかし、その人込みは汚く見えた。そこら中に唾を吐く奴らや、人の迷惑も省みず、道に座って談笑している奴ら…この幻想的なネオンには決して似合わない。
歩幅を早め、目的地へと向かう。
「ねぇ、映画を見に行こうよ」
電話があったのは昨日の夜だった。彼女は映画とかそういった類のものに全く関心がなく、その上、僕から誘った時も行く素振りすら見せなかった彼女が、突然そんな事をいうなんて思ってもみなかった。
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