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眠れぬ夜は君のせい〜28〜

[288]  ユーリ  2008-12-03投稿
こうして佑典と二人で居られる事だけが、その事が私は…ただただ嬉しくて有り難くて。

だけど佑典は違ったんだ。


あんなに深い悲しみを背負っている事、何で気付いてあげられなかったんだろう。



こんな時に後悔ばかりで何の言葉も掛けてあげられない自分が情けない。



私は黙ったまま下を向いた。


佑典の涙を見た瞬間、顔が上げられなくなった。


『久美ちゃん』先に声を掛けたのは佑典だった。


『下向いてたら見られへんやん。綺麗やで、空。一緒に見よう。』

顔を上げると佑典は私を見て笑った。


さっき流した涙なんかまるで嘘みたいに笑った。


私が涙を見た事知らないんだ…佑典。



私は佑典の背中をさすっていた。


『無理して笑う事ないねんで。しんどい時はしんどいままでいいんよ。』


そう言いながら背中をトントン、トントンと優しく叩いた。


子供の時、母がよくやってくれた。トントン、トントン。


あれが自然に出ていた。


その時佑典の体が震えた。


小さい子供のように佑典は泣いた。


草の上にしゃがんで、肩を震わせて泣いた。





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