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はるまついぶき 9

[368]  東雲  2008-12-05投稿
庭には月の光に照らされているシルバードラゴンがいた。突然の事態に混乱するダズ。

シルバードラゴンだって!?

リリーもベランダに飛び出した。確かにいた。本当にシルバードラゴンなんていたんだ。銀色に輝く鱗が美しい。そのシルバードラゴンの背中から降りてくる青年をリリーは見た。すぐに正体はわかった。

「ハルゥ!!」
リリーは叫んだ。青年はハルだった。やっぱり来てくれた。ハルはにっこり笑ってリリーを見ている。手にはビンが持たれていた。

「リリーを買い取ったダズ」
シルバードラゴンは呼んだ。

「な、何だ」
ダズは恐る恐る答えた。

「この青年は今、私の涙を持っています」

「なんだって!?シルバードラゴンの涙か?」

「はい。この涙があればあなたは一生お金に困らないでしょう。そこでリリーをこの青年に売ってください」

「売る!」
ダズは即答した。

「ハア…」
シルバードラゴンはため息をついた。少しはリリーを売ることにためらわないのか。やはり人を買うような人にろくな奴はいない。ハルを除いて。


ダズとリリーが庭に降りて来た。リリーは荷物を持っていた。

「よし。シルバードラゴンの涙を渡せ」
ダズは興奮しながら言った。

「ああ」
ハルはシルバードラゴンの涙が入ったビンをダズに渡した。その瞬間リリーはハルに抱き着いた。

「ハル!」

「リリー!」
抱き合う二人。

「ありがとう。ありがとう。ありがとう…」
と、繰り返すリリー。

「言っただろう。リリーを助けるって」
ハルは優しく言った。

「…そうだ!ハルのために絵を描いたんだよ」
リリーは荷物の中から絵をだそうとした。

「本当かい。それは嬉しいね」

「だって約束だもん」
笑う二人。

「ちょっと待ってくれ!」

そこでダズは大声を上げた。

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