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エリザベスドール?(18)

[442]  ぐうりんぼ  2008-12-06投稿
 ドアノブのガチャガチャとする音が響いて来た。

 ドアが開いて警備員ランスが入って来る。

 落とし物を取りに倉庫に戻って来た時だ。

 中から声が聞こえて来るのを不審に思って、ランスはドアを開けたが…
 中は真っ暗で誰もいない。

 懐中電灯を照らしながら辺りを見回す。

「おかしいなァ、確かに女の声がしたハズなんだが……気のせいか」

 そう納得してランスはドアを閉めた。

 シーンと静まり返る部屋の中…

 ローズマリーは、ガラスケースの中に何事もなかったように収まっていた。

 ――――――――

 パーソロン邸に1人の女性が訪れた。

 応対に出たアースルは女性の顔を見て驚き、自分の目を疑う。

「お久しぶりです旦那様」

 その女性は礼儀正しく、丁寧に挨拶した。

 ジッと女性を見つめるアースル。

 心の奥から感情がひしひしと湧いて来た。

「君は確か…」

「元メイドのキャリー・コルベットです。
 覚えてますか?」

「ああ…覚えておるよ」

 忘れてはいない。

 火災で焼失する前のバーソロン邸で働いていたメイドたちの中で…

 キャリアが短く、年齢も若かった。

「クビになった人間が、今頃になってノコノコ顔を出すなんて…
 我ながら、お恥ずかしい限りです」

「何を言う? もう、何も気にする事はない。
 むしろ私としては、君から顔を見せてくれた事に感謝するよ」

「お冗談を」

「私は本気で言ってるんだよ。よく来てくれたって思ってる」

「旦那様」

 思わずジーンと来たキャリー。

 いつも笑顔を絶やさず、仕事覚えの早い真面目なコだったキャリー…

 ジーナの身の回りの世話と話し相手の担当を任されるぐらい…信頼が高かった。

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