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ハーフムーン (31)

[1103]  2008-12-10投稿
バスは高速のインターを下りて、程なく国際空港に近付いた。

「ミステリーツアーって言ってたけど、一体どこ行くんだろうね?」
ミユキがつぶやいた。

「さぁな。分かんねぇよ」
マモルは両手を、頭の後ろに組んだ。


バスは国際空港に着いた。


バスを降りようとした時、ミユキは驚いた。

バスの運転手が又しても、あの太った男だったのだ。

運転手の男は、ミユキに笑いながら声を掛けた。
「くれぐれもお酒は飲まないようにね」

「はい…ごめんなさい」

ミユキにとって、最も適切なアドバイスだった。



広い空港のロビーに着くと、大きく二人の名前が書かれたプラカードを掲げて、スーツ姿の男が立っていた。

ミユキとマモルは、恥ずかしさの余り、早足でその男の元まで近寄った。

スーツ姿の男は二人を見つけると、こう呼び掛けた。
「ミユキさん、そしてマモルさんですね。この度はご当選おめでとうございます。私は、今回のご旅行を担当させていただいております、『ワーキングプア・トラベル』の亀山と申します。よろしくお願いします」


二人が軽く会釈をした後、その亀山と名乗る男に対し、ミユキがポツリと言った。



「あのぉ…私たちパスポート持って無いんですけど」

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