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おやすみなさい

[82]  2008-12-11投稿
「ねぇ先生、わたし死ぬことが怖くないの。死ぬことが怖くないほど寂しいことってないわ。」

「うん…そうだね。」   
「ねぇ、先生って女心全然わからないでしょ。」

「はは…そうだね、考えてもわからないよ、女の人は何を考えてるのか。」 

「じゃあ先生にとって私は女?それとも患者?」

「うん…そうだね、綺麗な女の患者さん、かな。」

「…つまんない。つまんない。つまんない、つまんない!…ねぇ先生、私のこといつも点滴漬けにしてる加護さん、結婚してるんだってね。しかも旦那さん超イケメンの商社マンなんだって。立川さんから聞いたの。あんなブスでデブで性格も悪いのに!あの人若い男の患者の前では1オクターブ声が高くなるの。キモいっつの。看護婦でぶりっこしてればブスでもデブでも結婚できるんだ!」

「うん…うん…」 

「ねぇなんで怒んないのよ!私最悪な女でしょ、面倒臭いと思ってるんでしょ私の相手!患者だから?患者だから言いたい放題言わせて気持ち落ち着かせとけばいいやって思ってるんでしょ!?」

「いや、違うよ。僕はひとりの人として松永さんに物凄く興味があるし、君を最低だとか患者だから軽くあしらっておこうなんて思ってない。僕は口下手だから君に話をしてもきっと退屈させるけど君の話を聞くの凄く楽しいよ。」

「…なんか尾木先生って教科書に書いてある回答そのまま言ってるみたい。つまんなくて笑える。あはっ」
「…はは、あまり評価は良くないみたいだけど。」

「8点よ8点!私がいなくなって泣いてくれるのは親だけ。友達なんていない。ライバルばっか。おまけに無菌室のカーテン越しにキスしてくれる男の子ひとりいない哀れな私の気持ちを全然わかってない!」
  
「そっか…だめだな僕は」
「キスよ。」
彼女は小さな声で言った。
「キスしてくれればいいの。」

「…いやその…」

「あはは!本気にしないでよ!今日も彼氏のいない欲求不満女の愚痴に付き合って下さってありがとうございました!どうぞお帰りくださいませーまた明日ーおやすみなさーい!明日死んでたらごめんなさいねー!」 
そう言って彼女はベッドの中に潜り、僕をカーテンの外へ追いやった。
僕は医者としても男としても、嫌になるくらい中途半端な人間だ。


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