あなたが『泣かないで』と言った
『どうして？』
『困ってしまうから』
だから何があっても泣かないように頑張ってきた

あなたを困らせたくはない
だからと言って我慢するのは苦しかった
『お前も幸せになれよ』とあなたが私の髪を撫でて言った
優しい表情と苛酷な言葉
『あなたがいい』と言ってあなたの目の前で思い切り泣きたかった
困らせてみたくなった
そんな台詞も涙も吸い込むように息を思い切り飲んだ

突き放される感覚
広がっていく距離
熱が引いていく体温

何も答えられなかった
ただあなたの顔を見れなくて横を向いた
泣かないように懸命に唇を噛み締めた

あなたじゃないと嫌なのに
あなたと幸せを見てみたかったのに
その一言で私の未来が閉ざされた気がした

どんなに堪えても
どんなに我慢しても
どんなに強がっていても私にも限界はある

瞬きをした瞬間に左の頬を涙が伝う
良かった
あなたが右側にいてくれて
あなたにこの涙を見られなくて

気付かれないように涙を拭ってあなたを見た
何もなかったようにあなたが笑顔で私を見る
あなたが羨ましくなる
『泣かないで』って言うから私も笑顔を作る
上手く笑えてるだろうか
私はあなたの望む通りに出来ていただろうか

胸が痛い
今は笑顔なんか忘れて声を上げて泣きたいのに

私が泣くと困るなら
嬉し泣きくらいさせて欲しかった
そしたら二人は幸せになれたのに
そしたら綺麗な涙が流せたのに

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