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ガールズトーク?

[526]  2008-12-11投稿
心の中でいつも嘆いた。
普通の女の子になりたい。
普通に、普通に…


昼休みの始まりのチャイムが鳴ると同時に、辺りはざわつき、秩序ある世界から混沌へと移行する。

校舎の最北、第二図書室。
小夜は壁ぎわのいちばん奥の一人掛けの席に歩み寄る。
ここがお気に入り。

ほとんどの生徒は改装したての快適な第一図書室を使うため、こちらは利用者はほとんどいない。
多くてもせいぜい数人、それも所狭しと並んだ書棚に隠れて存在感がない。
それが彼女には都合がよかった。

ちょっと動かすと不快な音の鳴る木製の椅子を慣れた手つきで丁寧に移動させ、無音のまま腰掛ける。
いつものように世界史の問題集を広げる。
これを片っ端から解いてゆくのだ。

彼女にとって至福の時間、いや、貴重なまでに救いの時間だった。

トイレの個室に篭った時期もあった。
しかし女子生徒がしばしば出入りする音がストレスになった。

保健室は人に心配されるのが重圧に思えた。

学校を休むということは、何より大切な家族の心に負担をかけるのが分かるため、ありえない選択肢だった。


行き着いた先が、ここだ。


学校生活のうち、学生の本分としてある時間、すなわち授業中は彼女にとってむしろ安楽の時だ。

問題は、生徒たちが学校にいながらその枠組みから解き放たれる、休み時間。
彼らの多くは羽根を伸ばし、友人達と語り合いながら昼食をとる。
しかし彼女にその喜びはない。


友達はいない。

一日に話す機会は朝晩の親との会話だけだった。

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