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贈りもの

[106]  So-n  2008-12-12投稿
時計に目をやると、7時25分。白く丸いフェイスに、スラッと細長く黒い長針と短針。秒針はない。

藤子(とうこ)は全身鏡で身なりをチェックし、アパートの冷たく分厚いドアを押し開けた。


外はどこまでも冬の匂いに満ちている。
歩き出すと、マラソンをしている人や、犬の散歩、藤子と同じ通勤途中の人…いろんな人が見えてくる。


駅の手前に新しい喫茶店ができた。今日はそこに行こくためにいつもより早めに出たのだ。
ペンションのような外観で暖かみがある。

カラン…

扉をあけると、鈴が鳴った。広くも狭くもない店内。
「いらっしゃいませ」

カウンターの向こうから落ち着いた優しい声がした。ロマンスグレーの男性が立っている。同じ年代であろう、女性がコーヒーを運んでいる。2人とも優しい穏やかな表情で、ホッとする。

藤子は柔らかいソファーに腰かけ、アメリカンを頼んだ。
コーヒーの薫りが立ち込める。カウンターの向こうには、綺麗なコーヒーカップやティーカップがディスプレイされていた。
藤子に出されたカップと同じものも、そこにある。

他の客は、みな静かに過ごしている。藤子も静かにこの時間を楽しんだ。


カラン…

会計をすまし、鈴の鳴るドアを開ける。

「いってらっしゃいませ」
落ち着いた優しい声に見送られた。誰かに送り出されるのはいつ振りになるだろう。
藤子は心が暖かくなる。

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