携帯小説!(PC版)

トップページ >> その他 >> 笑え屋

笑え屋

[347]  なな  2008-12-14投稿
『どーもどーもぉ!!』


2人の若手芸人の声が
小さなライブハウスに響きわたる。


「始めましてぇ♪笑え屋でーす!」

「かっこえぇやろ??」

バシッ

「何言ってんねん!?お客さんドン引きやぞ!!」

「そぉかぁ??俺に見とれ取るやん♪」

「お前の行き過ぎた思い込みや!! ほら、何かお客さんに声かけたれ!!」


「いやぁ、こんな熱い中、こぉんなせっまい所に来て頂いて、俺ほんま嬉しいわぁ」

バシッ


「せっまいっちゅーのは失礼やろ!!ほら、マスターに謝りや!!」

「わりぃ」

バシッ

「お前も覚え悪いなぁ!!どんな教育受けてんねん!!」

「毎日近所の畑に行って、腹満たせぇ♪言われとったわ!!」


「あほかぁ!!それドロボーやぞ!?それに逆ギレはないやろ!!」


「…」


いきなり相方の
信太が黙り込んだ。

(おい!!ネタ忘れたんか!?)

俺は慌てて信太を肘で突いた。

「なぁ次郎、やめようや。」

信太がやっと口を開いたかと思うと、ネタではなく信太本人の本音が出てきた。
「ばっ…信太!!」

「だって、誰も客おらんのに、誰笑わせればいいねん。」

そうだ。今のこの店の中には、誰もおらへんかった。
いるのは、この店のオーナー鈴木さんだった。

「あんなにチケット配ったのによぉ…何でこぉへんのや!!」

「まぁまぁ、面白かったよ??君達の漫才。」

鈴木さんが喧嘩になりそうだった俺達を、すんなりと止めた。

「いや…でも。せっかくステージも貸してくれてたのに、こんなんないやろ…」

「あんなぁ、次郎。君達はあんなに一生懸命住み込みで働いてくれたやないか??ステージならいつだって貸したるわ。それにな、誰も最初から売れる芸人なんて、ドコにもおらへん!」


「鈴木さん…」

信太が涙ぐんでいる。

「泣くなや!!わてら、笑え屋やろぉ??」


鈴木さんが笑いながら答えた。
俺らも、自然と笑みがこぼれていた。

感想

感想はありません。

「 なな 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス