記憶喪失?
思いきって彼女に聞いてみた。
『ねえ、なんでそこまでしてくれるの?』
『それは・・・。』
彼女はニコッと笑って
から答えた。
『大島くん、あたしを助けてくれたんだよ。だから、今度はあたしが助ける番っ』
『・・・ありがとな』
『お互いさまだよ』
僕は看護婦さんに呼び出された。そして、医師の話を聞かされた。
『君は・・・気付いてると思うが、記憶喪失だ。最近のことはまったく思い出せないだろう』
『そうですか・・』
『大丈夫かね?』
『はい』
医師の話を聞いた後、
僕は病室に戻った。
『おかえりっ』
『ああ』
『どうだった?』
『記憶喪失だって』
『やっぱり・・・』
『・・・・・・』
『じゃあ、あたしのことはこれから覚えてくれればいいから』
『えっ!?』
『あたしは石沢さおり。16さい。大島くんの・・・友達だったんだよ』
『そっか』
『そういえば・・・これ覚えてない?』
さおりは鈴がついた赤いストラップを見せた。
『う〜〜ん・・・』
『覚えてないよね』
『ごめん・・・』
『ううん、思い出せなくて当たり前だよ』
でも、この時僕はどっかで見たような気はしていた。
『てか、もう8時だぞ。家の人が心配するだろ。帰った方がいいよ』
『ちゃんと電話で連絡したから。今日はずっとここにいさせて』
『・・・分かった』
さおりはずっとそばに付き添ってくれた。
『なあ?』
『うん?』
『さおりって・・・呼んでいい?』
『うん。いいよ。じゃあ、あたしは大島くんじゃなくてたくやって呼んでいい?』
『あったりめーよ』
『よかった・・・たくや』
『おう・・・さおり』
僕はさおりと距離がもっと縮まった気がした。
さおりはずっとたくやを見守っていた。そして、 たくやが先に眠りについた。
翌朝、6時頃。
たくやは目を覚ました。
横の方を見るとさおりが 僕のベッドにもたれて寝ている。
(寝顔、かわいいな)
『・・・!!?あっ、大島くん・・・じゃなくてたくや起きてたんだ』
『俺もさっき起きたばっかだよ』
『そっか』
今日は第2土曜なので
学校は休みだった。
『トイレ行ってくるね』
『ああ』
さおりが支度を済まして 病室に戻ろうとすると、 たくやが例のストラップを眺めていた。
さおりはなんか嬉しい気持ちになった。
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