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航宙機動部隊前史後編・27

[573]  まっかつ  2008-12-15投稿
ガニバサは、この機を活用して麾下の十提督達に更なる戦果の拡大を命じていた。
向こうから仕掛けられたとは言え、今や敵陣営の中心人物の一本釣りに成功したからだ。
十提督達はその期待に存分に答え、銀河連合機動部隊は、各地でそれこそ本当に負けまくり出し―ガレンバルボはますます後が無くなって来た。

ここで、衝突を前に両者は秘術の限りを尽して頭脳戦の火花を散らしている。
どちらも友軍の助けが期待出来る有利な決戦場に相手を引きずり込むのが目的だった。
ガニバサは、誘われた振りをして、ガレンバルボの望むケミシュ宙沖へ主力を派遣し―ここでまたもやわざと敗退を演じた。
そして、追撃に出たガレンバルボ艦隊を自らの庭、ユンテデ宙路にまで、ずるずると導く事に成功した。
血気はやる部下達を、ガレンバルボは完全に制止出来ず、また、見捨てる分けにもいかなかった―ガニバサは冷静にその弱点を突いたのだ。

ユンテデ宙路の闘いは、銀河元号一五五五年第二期三六日(修正太陽暦五月六日)に始まった。
お互い典型的な正攻法を採用した。
この闘いで、主導権を最初に握ったのはガレンバルボの方だった。
彼は、優勢な兵力を左右に大きく広げて半包囲の陣形を取った。
ガニバサは、この時点の全軍に当たる六六000隻を三隊に分け、一隊ずつ突撃させる戦術で、相手の意図を挫こうと試みる。
だが、驚異的なセンスで、航宙軍事総同盟機動部隊を包囲下に置いたのは、ガレンバルボだった。
すると、ガニバサは、敵前で一四000隻の直属部隊を編成すると言うとんでもない離れ業を見せて、銀河連合軍右翼を瞬く間に突破してしまう!
そしてそのまま、敵の背後に回り込み、逆包囲の体勢へと蹴落としたのだ。

凡そ八時間の戦闘で、勝敗は決した。
二八000隻以上を失ったガレンバルボは、失意の内に退却を命じ、ライバルを打ち破ったガニバサの不敗神話は、ここに再び蘇ったのだ。

銀河連合の攻勢はここに頓挫し、航宙軍事総同盟は力を盛り返した―\r
この時はそう思われた。

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