記憶喪失?
『なんでだよ・・なんでたくやがこんなことに・・』 『・・・』
さおりは黙ったままだ。 他のみんなも心配そうにたくやを見つめ、泣いている子もいた。
『俺なら、大丈夫だ』
『どこがだよ?』
『頑張って思い出すから、絶対に・・・』
『・・・』
しんやは最初は戸惑ったが、すべて受け入れることに決めた。
『無理すんなよ』
『・・・あっ、ああ』
しんやだけじゃなく、他のみんなもたくやのことを受け入れた。そして、みんなは帰った。
『・・・お前のせいじゃないからな。自分責めるなよ?』
『えっ!?・・・・・・うん』
この時、さおりはたくやに思っていることすべてを見透かされているような気がして少し恥ずかしかった。それと同時に、心配してくれてたことに対して嬉しさが込み上げてきた。
(ありがとう、たくや)
心の中でたくやに感謝した。
その頃、医師はたくやについて調べていた。
頭を打った衝撃で、記憶喪失になったとカルテに書かれている。
医師は一人で考え込んでいた。
すると、そこにたくやがきた。
『どうしたんだね、たくやくん』
『あの〜・・・僕の記憶は戻りますか?』
『絶対戻るとは言えないが、戻る可能性もある』 『そうですか・・・』
『たくやくん』
『はい?』
『辛いと思うが、記憶が戻ることを信じよう』
『はい』
たくやは病室に車イスで戻った。
『どこ行ってたの?』
『ん?ちょっとね』
『ふ〜ん・・』
『なにやってるの?』
『千羽鶴だよっ』
『すげえな』
『たくやが早く治るように』
『ありがとう』
たくやは千羽鶴を折るのを手伝った。
夕日が沈む頃、
『完成〜っ』
『やっと終わったな』
二人は満足した。
『はい、あげる』
『うん、ありがとう』
『なあ、今日はもう帰ったらどうだ?』
『うん、分かった』
『さおり?』
『うん?』
『ホントにありがとう』
『・・・あたしも。たくやのそばにいれて楽しかった』
『そっか』
さおりは荷物をまとめて病室を出ていった。たくやは机の引き出しにしまってあったあのストラップを取り出そうとしたら
手をすべらして落としてしまった。その時、ストラップについていた鈴が (チリンッ)と鳴った。
その瞬間、たくやの頭の中でなにかが起こった。
『・・・!!?あっ、あの時・・・そうか。思い出したぞ』
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