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幸運の女神

[606]  朝倉令  2006-06-25投稿


「エリカ、もうすぐ誕生日だろ?
たまには奢ってやるか」

「え、いいの?」


「諒司!俺ももうすぐ誕生日だからさァ、おごれ!」


「康介よ、…お前年に何回誕生日あんだよコラッ!」


「あ、やっぱバレた?」


「あはは、嘘つきぃ〜っ。あ、リョージ、ついでにさぁ、友達も呼んでいい?…」



遠慮がちに上目づかいで見上げるエリカに、ちょっとドキッとした俺は、思わず安請け合いをしていた。



「何?…ま、まァ一人ふたりなら別に…」


「やったーっ♪」


「やりィ!」


「康介おめーわ!違うだろが」





やがて、ケータイで呼んだエリカの友人達が合流する。





「あれ? 君たちはこの間お店に来た…」


「諒司クンのゆく所、いつも花盛りですね」


「昭彦… お前、どこから出てきたんだよ?」



「あのーっ、……諒司さんって、本当にお上手なんですかぁ?」


「いやん、麻紀ったら、ロコツ〜」


「あはははははは」



「いやァ、その…企業秘密って事で」




エリカの友人達が面白半分でからかってくるのに閉口した俺は、とりあえず適当な店を選んで入る事に決めた。



エリカの右にいる一見おっとり風のタレ目の子は、先程ストレートにズバッと質問してきた九里(くのり)麻紀。



その斜め前を歩くシャギーの似合ってる小柄な子が小坂雛(ひな)。



…で、堂々と腕を組んでくる品川恵利花の後から、峠昭彦と石島康介がニヤニヤしながらついて来た。





後日、ネタにされるのが目に見える…


 と思っていたが、奴らの狙いが実は他にあった事を、後ほど知った。







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