携帯小説!(PC版)

死角

[749]  けんじ  2008-12-17投稿
かず「随分、雰囲気かわったなぁ?出世したんだって?」
たくみ「大した事してないよ!」

たくみとは同じ高校だった。5年振りに再開し、彼の行きつけの焼肉屋にいた。
かず「だってよ〜、焼き肉なんて豪華なもの中々来れないぜ〜」

たくみ「毎月何回かは来るよ。若い子もつれてさ。」
かず「す、すげ〜な。…ごちそうさまです!」

たくみ「割り勘だろ…?」

かず「そうだった?(笑)」

金曜の夜の忙しそうな店内で次第にお酒も入り2人は5年前の懐かしい話を続けていた。

たくみ「ここの焼肉屋さ、高校の同級の吉井。働いてたんだぜ。」

かず「へ〜、ん?吉井?」

たくみ「まぁかげの薄いヤツだったからな。女からも吉井じゃなくてウスイなんて呼ばれてな。…けど、この焼肉屋で頑張って働いてて大分イメージ変わったけどね、吉井。」

かず「あ〜ウスイね。思い出したよ。懐しい。今は働いてないのか?ウスイ。」
たくみ「…死んだんだよ。ここに来る途中に車にはねられて、もう3年前になるよ。」

かず「…マジかよ〜、なんかこの年齢になるとそんな話も出てくるんだなぁ」

たくみ「あぁ、俺も高校の時は一度も話した事もなかったけどな。
…なぁかず、奥のトイレの一番近くのテーブル席見えるか?」

かず「あの4人がけのテーブル席だよな。うん。」

たくみ「今何人座ってる?」
相変わらず混雑する店内で体をのけ反らしながら確認する。

かず「う〜ん、4人じゃないか?1人の姿が丁度便所の柱で隠れて見えないけど、みんな楽しそうに話してるよな?」

たくみ「そう。丁度死角になってて見えないんだ。1人。」

かずは目を凝らしてじっとテーブルを見つめる。

たくみ「あそこのテーブルはさ、どんなに店が混んでも3人しか通さないんだ。」
カタンカタン…
かずは箸を落とした。
楽しそうに見えた4人席には3人分の飲み物。そしてさっきからずっと動かない頭が少し見える。だが、こっちをじっとにらんでいるような気がする。

たくみ「いつも座ってるんだよ。あいつ。かずにも見えるって事は随分変わったんだなぁ。あいつ。」

かず「おい、あいつってまさか…」

たくみ「もうウスイじゃないだろ…?」


感想

  • 12082: 五億でこの作品うって下さい!コムコム〜 [2011-01-16]

「 けんじ 」の携帯小説

ホラーの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス