十字路とブルースと僕と俺 15
田舎の冬は寒い。夏は確かに暑いが、そよそよと吹く風は爽やかで、都会に比べるとアスファルトが少ない分、照り返す熱気も少ない。だからわりかた夏は過ごしやすいが、冬は逆である。まず此処には都会のようなビル群はない。人でごった返すほどの人間もいやしない。それゆえ温暖化する要因は少ない、と思われる。吹きつける風は非情な冷たさで、自然の脅威を感じざる得ないのである。祖母の家はほとんど改築らしい改築もせずに築百年近いという、本格派の年代モノで、隙間風とよぶには物足りないほどの立派な風様が入り込んでくる。そんな所(季節)に来たのは意外にも初めてだった。なぜかいつも来るのは、決まって夏か春。春は春でぽかぽかとして、いっそ猫にでもなって陽のあたる縁側で腐るほど昼寝に興じたいと思うほど過ごしやすいのに、ほんの数か月前は凍てつく寒冷が支配する地獄だった。
おれ達は全員、居間のコタツに下半身を潜り込ませ、晩酌を愉しんでいた。石油ストーブの上のヤカンが、しゅんしゅんと鳴いていた。
おれ達は全員、居間のコタツに下半身を潜り込ませ、晩酌を愉しんでいた。石油ストーブの上のヤカンが、しゅんしゅんと鳴いていた。
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