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幸運の女神 10

[633]  朝倉令  2006-06-26投稿


「やあ、諒司クン。 お買物ですか?」


「倉沢さん、こんちは〜」


「あ、あぁ… こんにちは麻紀ちゃん。
昭彦と付き合ってるなんて全然知らなかったよ」


「いや、これも君とエリカさんのお陰ですよ。
それでは、ご機嫌よう」


「倉沢さん、またね〜」






落ち着いたムードの峠昭彦と、ほよよんとした感じの九里麻紀。



なかなかお似合いの二人に見えた。






    数日後



「よォ、諒司ィ!」


「諒司さん、おひさーっ」


「お、… お前らも?」


「ヒナ、これから康介さんと映画なんですぅー♪」


「ま、そーゆーこっちゃ。そんじゃなーっ」


「またね〜」





チェーンをジャラジャラさせた革ジャンに金髪の石島康介と、小柄で、あどけない顔立ちの小坂雛…



(何だか、中学生の子拉致ってるみてェだな……)





康介たちをボーッと見送るうちに俺の待ち人、品川恵利花がこちらに気付いて、遠くから手をブンブン振っていた。



「リョージどしたん? いつもより間抜けな顔して」


「エリカおめーわっ! …会うなりそりゃないだろ?」

「冗談だよ〜っ♪ 何だかみんな上手くやってるみたいだね、あはは」





そう屈託のない笑顔を見せるエリカに、俺はあえて言葉を重ねず腕を組んでくるのに任せていた。






「あら、あなた方… 良かった、ちゃんとお付き合いしてたのね、うふふ…」


「あ… あなたはあの時のお客様」


「…何のご用ですか!」


「あらあら、…誤解されるのも無理ないかしら?」



やれやれといった表情で肩をすくめた人物は、バイト先のファミレスで携帯番号のメモをくれた女性であった。



「わたくし、何時もここにおりますから。
よろしければ、是非ともお二人ご一緒にいらして下さいな」





その言葉と共に渡された名刺には、とある占いのお店の名前と所在地が記されていた。






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