航宙機動部隊前史後編・30
五大国によるパワーバランスは、実に脆い物だった。
いずれも超国家主義による監視統制システムで星民をがんじがらめに縛り付けた。
産まれる前から、その人の住地・職業・配偶者と出産数・課すべき学業や訓練・国家奉仕の内容や、それに付随するリスクが、事細かに定められ、それぞれの政府によって綿密に運営されたのだ。
自由は否定され、言論も学問も文化も、全ては国家に役に立つ物以外は容赦無い検閲の対象とされた。
全てはやはり、人の頭数で国の豊かさ強さが決まる現行の経済体制への依存体質から来る物であった。
だが、こうした宙際競争は、すぐさま銀河に二つのグループを形成するに至った。
またしても保守と革新だ。
この時点で、最早虫の息の宙際連合と宗教界を中軸とした集団は、激化した競争が科学技術及び倫理面に及ばない様、規制強化すべきだと考えていた。
対する五大国の主流派は、この思想に抵抗の構えを示していた。
既に、人的資源の開発は限界になりつつあったのだ。
その上で、各国が主に経済を巡る拡大を望むのなら、道は二つしかない。
タブーを破るか 戦争か―\r
反面、長年に及ぶ戦乱と一向に収拾を見せない国家間競争に疲弊していた一般星民や、識者達の中では、再び宇宙統一政体の樹立を求めるワン=オーダー思想が高まりを見せつつあった。
もう誰も、加熱する拡大政策に嫌気が差し初めて来たのだ。
しかし、その拡大と戦争と経済の三要素は、切っても切れない状況にまで結合を強めていた。
そして尚悪い事に、五大国自体が、それを追求する為の複雑怪奇かつ精巧な巨大装置となってしまっており、それなくしては存立しえないまでに、国家としての本能にまでしっかりと組み込まれてしまっていると言う、恐るべき事実があったのだ。
つまり、五大国が存続する為には、今のまま危険な成長ゲームを続けるしか無くなっていたのだ!
案の定、五大国はワン=オーダー論を危険思想として徹底的に弾圧し、水面上に限れば、その動きは完全に封じられた。
だが、人々の不満を抑える為に、思想には必ず代替品が必要だ。
彼等は実に安易かつ短絡的に、それを愛国心と、その対象たる仮想敵国の喧伝に求めた。
仮想敵を、やがて本当の敵だと思い込んでしまうまでに、そう時間はかからない。
こうして最終戦争の舞台が準備されて行った。
いずれも超国家主義による監視統制システムで星民をがんじがらめに縛り付けた。
産まれる前から、その人の住地・職業・配偶者と出産数・課すべき学業や訓練・国家奉仕の内容や、それに付随するリスクが、事細かに定められ、それぞれの政府によって綿密に運営されたのだ。
自由は否定され、言論も学問も文化も、全ては国家に役に立つ物以外は容赦無い検閲の対象とされた。
全てはやはり、人の頭数で国の豊かさ強さが決まる現行の経済体制への依存体質から来る物であった。
だが、こうした宙際競争は、すぐさま銀河に二つのグループを形成するに至った。
またしても保守と革新だ。
この時点で、最早虫の息の宙際連合と宗教界を中軸とした集団は、激化した競争が科学技術及び倫理面に及ばない様、規制強化すべきだと考えていた。
対する五大国の主流派は、この思想に抵抗の構えを示していた。
既に、人的資源の開発は限界になりつつあったのだ。
その上で、各国が主に経済を巡る拡大を望むのなら、道は二つしかない。
タブーを破るか 戦争か―\r
反面、長年に及ぶ戦乱と一向に収拾を見せない国家間競争に疲弊していた一般星民や、識者達の中では、再び宇宙統一政体の樹立を求めるワン=オーダー思想が高まりを見せつつあった。
もう誰も、加熱する拡大政策に嫌気が差し初めて来たのだ。
しかし、その拡大と戦争と経済の三要素は、切っても切れない状況にまで結合を強めていた。
そして尚悪い事に、五大国自体が、それを追求する為の複雑怪奇かつ精巧な巨大装置となってしまっており、それなくしては存立しえないまでに、国家としての本能にまでしっかりと組み込まれてしまっていると言う、恐るべき事実があったのだ。
つまり、五大国が存続する為には、今のまま危険な成長ゲームを続けるしか無くなっていたのだ!
案の定、五大国はワン=オーダー論を危険思想として徹底的に弾圧し、水面上に限れば、その動きは完全に封じられた。
だが、人々の不満を抑える為に、思想には必ず代替品が必要だ。
彼等は実に安易かつ短絡的に、それを愛国心と、その対象たる仮想敵国の喧伝に求めた。
仮想敵を、やがて本当の敵だと思い込んでしまうまでに、そう時間はかからない。
こうして最終戦争の舞台が準備されて行った。
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