黒髪の少年は?−4
美祢ちゃんの両親は昨日に続き今日も仕事を休み、寝てもいないらしかった。
昨日呑気に家で眠った自分に腹がたつ。
自分は一体何をしているんだ、と。
「…私は…」
頬にハンカチが当たった感触。
正面にいた先生が目に隈を作って、なおも心配そうに私を見ている。
「先生…泣かないで」
私の頬から離れた白いハンカチが、僅かに濡れているのが霞んで見えた。
「オレがみつける!ゆうくんも、みねちゃんも、ぜったいみつけるから!!」
流君が私に向かって叫んだ。
私は溢れそうになる涙をこらえ、さくら組の出入口であるドアにもたれかかった。
「ダメ。流君もいなくなったりしたら先生はどうすればいいの?」
「オレはぜったい、ぜったいいなくならないから!!」
すごい剣幕で怒るガキ大将を恐がりつつ、同意を示すようにしながら黙る他の子たち。
本当は今から朝の会を開かなければならなかったが、私はそれを放棄してドアから離れなかった。
「サキせんせい…おねがい、どいて!」
剣土君が必死に説得しようとしてくる。
目は真剣そのものだった。
お願いだからどいてくれと、懇願してくる様にも見えた。
「駄目。良い子にして遊んで下さい。美祢ちゃんも由宇君も…おまわりさんが見つけてくれるから。」
残酷にも思えたが、私はポケットから鍵を出して内側からドアを閉めた。
すると教室全体からいやな雰囲気が溢れた。
流君は私から鍵を奪おうと叫びながら追い掛けて来たが、剣土君は俯き、目を擦っていた。
彼の目を擦った腕は濡れていて、電気を反射して光っていた。
「なんで…さがしにいっちゃだめなの?」
流君の叫びに混じって、辛うじて聞こえた声に、再び涙が溢れそうになった。
泣き出してしまった剣土君の頭を、黙っていた子達が撫でた。
早くふたりを見つけてくれ−−。
そう願うしか出来ない自分に腹がたつ。
何か出来る事はないのだろうか。
最悪の事態しか予想しない頭を叩いて、窓から外を見る。
今日もまた、どんよりとした雲が限りなく広がっていた。
昨日呑気に家で眠った自分に腹がたつ。
自分は一体何をしているんだ、と。
「…私は…」
頬にハンカチが当たった感触。
正面にいた先生が目に隈を作って、なおも心配そうに私を見ている。
「先生…泣かないで」
私の頬から離れた白いハンカチが、僅かに濡れているのが霞んで見えた。
「オレがみつける!ゆうくんも、みねちゃんも、ぜったいみつけるから!!」
流君が私に向かって叫んだ。
私は溢れそうになる涙をこらえ、さくら組の出入口であるドアにもたれかかった。
「ダメ。流君もいなくなったりしたら先生はどうすればいいの?」
「オレはぜったい、ぜったいいなくならないから!!」
すごい剣幕で怒るガキ大将を恐がりつつ、同意を示すようにしながら黙る他の子たち。
本当は今から朝の会を開かなければならなかったが、私はそれを放棄してドアから離れなかった。
「サキせんせい…おねがい、どいて!」
剣土君が必死に説得しようとしてくる。
目は真剣そのものだった。
お願いだからどいてくれと、懇願してくる様にも見えた。
「駄目。良い子にして遊んで下さい。美祢ちゃんも由宇君も…おまわりさんが見つけてくれるから。」
残酷にも思えたが、私はポケットから鍵を出して内側からドアを閉めた。
すると教室全体からいやな雰囲気が溢れた。
流君は私から鍵を奪おうと叫びながら追い掛けて来たが、剣土君は俯き、目を擦っていた。
彼の目を擦った腕は濡れていて、電気を反射して光っていた。
「なんで…さがしにいっちゃだめなの?」
流君の叫びに混じって、辛うじて聞こえた声に、再び涙が溢れそうになった。
泣き出してしまった剣土君の頭を、黙っていた子達が撫でた。
早くふたりを見つけてくれ−−。
そう願うしか出来ない自分に腹がたつ。
何か出来る事はないのだろうか。
最悪の事態しか予想しない頭を叩いて、窓から外を見る。
今日もまた、どんよりとした雲が限りなく広がっていた。
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