黒髪の少年は?−1
剣土君の悪い噂とはこうだ。
転園はこれで3回目。
剣土君が来た幼稚園や保育園では、剣土君がやった訳ではないが厄介事が起きる。
一つの園では、1人の赤ちゃんの前歯を生えている分全て紙やすりのような物で何者かに削られる事件が起きた。
二つめの園では、
二人の1、2歳児の髪の毛が何者かに全て乱暴に抜かれたり、睫毛を剃られたり(瞼が少し切れていた)する事件が起きた。
3つめの園では、
3人の児童が竹の棒で暴行され、1人は入院する事件が起きた。
どの事件も、先生の目が離れた所で行われ、犯人の顔はどの児童も覚えていなかった。
そして、犯人はまだ捕まっていない。
らしい。
4つめの園であるこの保育園でも、何か起こるのではないか。
そして、荒井家はそんな事件が起こる度にいちいち引越しと転園ををしている(父親は剣土君が3歳の時に交通事故で他界しており、金もそんなにないはずであるにも関わらず)。
そんなことをする理由は、全ての事は荒井剣土かその周辺人物がやっているからなのではないか。
これが、彼の悪い噂の内容だった。
美祢ちゃんがいなくなった日の夕方。昨日からの曇りが限界に達したのか、豪雨だった。
流君と剣土君が教室の隅っこで何やら相談していた。
もうすぐ彼らの親が迎えに来るはずなので、今日は目を放さずにさくら組全員を親の元へ届けよう。
いつもやっていたはずの事が、途方もなく難しいような気がしてしまう。
やがて、流君の親が来て彼の手を引いて帰って行った。
親は、自分の子供が無事にそこにいる所を見て安心しているように見えた。…流石、情報の伝達は早いようだ。
児童の中にいると大きく見える彼も、親に手を引かれるとまだ小さな子供だということが分かる。
そんな彼は、帰り際窓から手を降る剣土君に向かって傘の中から大人っぽく笑い、拳をにぎって親指を立ていた。
何かを企んではいまいか。
しかし用心深くなっている親たちの手前、恐らくどうする事も出来ないだろう。
可愛そうだけれども。
転園はこれで3回目。
剣土君が来た幼稚園や保育園では、剣土君がやった訳ではないが厄介事が起きる。
一つの園では、1人の赤ちゃんの前歯を生えている分全て紙やすりのような物で何者かに削られる事件が起きた。
二つめの園では、
二人の1、2歳児の髪の毛が何者かに全て乱暴に抜かれたり、睫毛を剃られたり(瞼が少し切れていた)する事件が起きた。
3つめの園では、
3人の児童が竹の棒で暴行され、1人は入院する事件が起きた。
どの事件も、先生の目が離れた所で行われ、犯人の顔はどの児童も覚えていなかった。
そして、犯人はまだ捕まっていない。
らしい。
4つめの園であるこの保育園でも、何か起こるのではないか。
そして、荒井家はそんな事件が起こる度にいちいち引越しと転園ををしている(父親は剣土君が3歳の時に交通事故で他界しており、金もそんなにないはずであるにも関わらず)。
そんなことをする理由は、全ての事は荒井剣土かその周辺人物がやっているからなのではないか。
これが、彼の悪い噂の内容だった。
美祢ちゃんがいなくなった日の夕方。昨日からの曇りが限界に達したのか、豪雨だった。
流君と剣土君が教室の隅っこで何やら相談していた。
もうすぐ彼らの親が迎えに来るはずなので、今日は目を放さずにさくら組全員を親の元へ届けよう。
いつもやっていたはずの事が、途方もなく難しいような気がしてしまう。
やがて、流君の親が来て彼の手を引いて帰って行った。
親は、自分の子供が無事にそこにいる所を見て安心しているように見えた。…流石、情報の伝達は早いようだ。
児童の中にいると大きく見える彼も、親に手を引かれるとまだ小さな子供だということが分かる。
そんな彼は、帰り際窓から手を降る剣土君に向かって傘の中から大人っぽく笑い、拳をにぎって親指を立ていた。
何かを企んではいまいか。
しかし用心深くなっている親たちの手前、恐らくどうする事も出来ないだろう。
可愛そうだけれども。
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