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空ノ箱庭

[178]  月白 凪砂  2008-12-25投稿
望んだのは空で
手に入れたのは海の色
鮮やかに続く空の碧は
遠く遠く遠く
掌に掬い上げて
硝子の瓶に閉じ込めた世界は
静かに波打ちながら
光すら残しはしないままに
割れて消えてしまった


淡い桃色の貝殻を拾い
小さな小瓶に手紙と共に
一つだけ詰め込む
波飛沫を立てて
波打ち際に落とした瓶は
満ち干に合わせて
何度も戻りながら
遠くへ掠われていくだけ


何度閉じ込めても
手に入りはしないのは
分かっていた事なのだと
小さな溜め息で
淡く儚い光と
空を映した水面が揺れた
結局有限である事には
もし全てを知ったとしても
変わりはしないのだから


鮮やかに映る貝殻は
波打ち際で波に揺られて
何処か遠くへと
揺られていった
海に流した小瓶の中の
儚い華瓣と共に
何時かの願いは
波に揺られて消えていく


そうと知っても
無限の世界の全てを
知ってしまったなら
其は只の小さな
掌に乗るくらいの
有限の箱庭であると知る
幾度も続くそのやり取りと
その世界全てを知る事は
出来ないのだろうから


小瓶に願いと思いを詰めて
人は無限に夢を
馳せるだけなのだろう

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